イヌタデ(花)
イヌタデの花をしごいてバラバラにしたもの
をアカマンマと呼んでおままごとに使ってい
たのは私の世代が最後くらいでしょうか?
アカマンマという言葉は、俳句の世界では秋
の季語となっているのでイヌタデも秋の花の
イメージが強いのですが、実際は、初夏から
晩秋まで長い間、咲き続けている花です。
地味で野原のどこにでも群れている野草のた
め花屋さんで売られている花ではありません
が、野原一面に咲き乱れている風景は美しい
ものです。でも、アカマンマは、昔の女の子
に家族の面倒をみるのは自分だと無意識に刷
り込んでいたのでは?とも思います。
先日、偶然、同じ日に学生時代の友人2人から
久しぶりにLINEをもらいました。2人とも他に
男兄弟がいても親のお世話をしています。親は
娘の方が、気兼ねなく頼れると思っているよう
ですが、実際の娘たちの心の葛藤には考えが及
ばないようです。我が家も同じです。
アカマンマの呪いに縛られて苦しい胸の内をデ
ジタルツールでなんとか凌いでいる昔の女の子
たちがたくさんいるのです。
ヒヨドリバナ(花)
8月に少し涼しくなって、一度咲き始めたの
ですが、暑さがぶり返したら姿を消してまた
最近見られるようになったヒヨドリバナ。
フジバカマの花にそっくりなので初めて見た
時は、野生のフジバカマだと勘違いしたほど
です。よく見ると葉の形がフジバカマは3つ
に裂けているのですが、ヒヨドリバナは裂け
目のない一枚の葉というところで見分けると
図鑑で学び、なるほど~と納得。
秋になり日中、気温が少し上がると蝶をよく
見るようになりました。ヒヨドリバナやフジ
バカマには蝶がよくやって来ます。蝶の渦巻
のようになった口はヒヨドリバナの細い花か
ら蜜を吸うのに適しているのです。花の奥ま
でこのストローを差し込んでゆっくりと羽ば
たいて止まっています。
成虫になった蝶はたいてい美しい姿をしてい
るのですが、卵を我が家の幼いユズの木に産
み付けるので困っています。蝶の幼虫はユズ
の葉をモリモリ食べて丸坊主にしてしまいま
す。 せっかく今年は、だいぶ大きくなったと
安心していたユズの木が、これでは冬に寒か
ろうという姿になってしまっています。早く
蝶になってヒヨドリバナの方へ飛んで行って
欲しいと恨めしく眺めています。
ノギク(花)
まだ暑い最中から秋を一番最初に知らせて
くれているのはノギクの白い花です。
8月中から野辺のあちらこちらで咲き始め
11月終わりまで次々と咲き繋いでいます。
これらのノギクが同じ種類のものなのか、
それとも何種類かが、秋が深まるにつれて
順番に入違っているのか専門家ではない私
にはわからないのですが、今の時期いつも
傍らにある花です。
秋分の日を境に急激に気温が下がり、慌てて
長袖の服を用意しています。いつもの年なら
9月になればとうに長袖が普通なのですが、
今年は、だいぶ出遅れました。ここに来て、
全く着なくなったノースリーブは、流石にも
う処分だろうなぁと思ったりしながら衣替え
です。
晴れても太陽の光も弱々しく、暑い季節に清々
しく感じた白い花色が、なんだか寒々しく感じ
るようになってもう本当の秋になったのだなぁ
と感じます。
これから1枚1枚着る物が増えて身体が重くな
ることを考えるとTシャツ1枚でで身軽に過ご
せていた夏が、私はやっぱり好きだったのだな
と思い返しています。
ヒガンバナ(花)
今年もなかなか姿を見せないと心配していたら
車窓から赤い花が見えたのでいつも咲いている
場所へ雨が降り出す前に行ってみました。
一週間前に確認した時は、まだ影も形もなかっ
た場所に真っ赤なかがり火のような花が、群れ
ています。
高台のこの場所は、春はクロッカス、秋はヒガ
ンバナと球根植物が元気よく咲く場所です。
日当たりと風通しの良いせいか植物だけでなく
猫たちの集う場所にもなっています。
ヒガンバナは、別名曼殊沙華とも呼ばれ、お墓
にまつわるイメージがあるせいか昔はあまり良
い印象を持たれていませんでした。地獄花とか
幽霊花などと呼ぶ地方もあったようです。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言い伝え通り、
彼岸の入りの頃からすっかり風が冷たくなりま
した。真っ赤な花火のような花を見ながら今年
は、花火も見なかったなぁとちょっと寂しく暑
かった夏を振り返りました。
稲刈り
9月に入ってから朝から晩までスッキリと晴れ
た日がないような気がします。
そのせいか、今年の稲刈りは遅れ気味です。
素人目には十分実っているように見えてもまだ
まだ収穫には早い状態なのかなぁと思いつつ
でも台風が来たらどうするの?と余計な心配を
しています。
今の稲刈りは、機械化されて始めてしまえば
あっという間に刈られて袋詰めまでその日の
うちに完了してしまいます。あまりの呆気なさ
に唖然としてしまうほどです。その代わり藁は
粉々になり、稲刈り機の走り去った後に蒔き散
らかされておしまいです。お米も工業製品と同
じようになってしまったなぁとちょっと残念に
感じる瞬間です。
たわわに実った稲が一様に頭を垂れてその姿に
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と人としての
あり方を表現した日本人の心も段々に消えてい
くのかもしれません。
晴天の下、黄金色に輝いて見えるイネの波打つ
田んぼは、お金に換えられない価値を持ってい
ると思うのは、私が、農業の厳しさを知らない
からでしょうか?
ノハラアザミ(花)
山里周辺でよく見かけるアザミの花には大きく
分けて2種類あります。初夏に咲くノアザミと
秋に咲くノハラアザミです。
どちらもよく似た赤紫色の花ですが、ノアザミ
の方が若干花びらの塊がこんもりとしてボリュ
ームがあるかな?と思います。
自然界のエネルギーがピークに向かって行く
季節と日々下り坂になっていく季節では花から
受ける印象も違って見えるのかもしれません。
アザミの仲間は、キク科の植物です。一般的に
キク科の植物は花びらをパッチリと開いた形が
多いのですが、アザミは細い花びらが筒状に固
まった花でパッと見はキク科とは思えません。
最大限、開いても半球状に開くだけです。
秋分を過ぎて日の出がすっかり遅くなってし
まったので今シーズンの早朝散歩はおしまいに
なりました。イネがたわわに実った側でポツン
ポツンとノハラアザミが目につく朝の風景に
「また来年!」と再会を約束して幕を降ろし
たのです。
ゴーヤー(実)
暑い盛りに花をつけていたゴーヤーがたった
1個だけ小さな実をつけました。握りこぶし
くらいの大きさです。
雄花はたくさん咲いたのですが、雌花はほと
んど咲かなかったのでたった1個でも実が
ついて嬉しいです。いたずら心で庭の空いて
いる所に植えて肥料もせずにいたのに実がなっ
てくれただけで万々歳です。
黄色くなってきたなぁと思っていたらある朝
オレンジ色になって皮が破れ、中の赤い種が
見えるようになりました。そのままにして置
いたら父が、後から見て「鳥につつかれた!」
と慌てて教えに来てくれました。父には自然に
弾けて破れたのだと説明しましたが、興味が
ないような様子でしたが、案外気にして見て
いたのだなぁと思って笑ってしまいました。
食べるには小さ過ぎるし、もう熟し過ぎたので
この種は、赤い果肉をきれいに洗って来年また
芽が出るか試してみたいと思っています。
ささやかなお楽しみはまだまだ続きます。
ミヤマガマズミ(実)
春、たくさんの小花を咲かせていたミヤマ
ガマズミが、今は赤い実をつけています。
山にはガマズミの仲間がたくさんあります。
たいてい少し湿り気のあるヒンヤリとした
場所を好んで生えている木です。
赤い実がなっている部分が、春は小さな白い
小花の集まりとなっていました。
この花が見られるようになると山里も本格的な
春が来たと実感出来る季節となり、一番快適で
心弾む季節でもあります。
秋になり、紅葉には少し早い今の時期は、山は
夏の疲れを癒しているように活気がなくなりま
す。でも、よく見れば、少し早いですが、1年
の集大成となる実りの準備をしています。少し
ずつ実の赤さを増し、鳥や小動物、そして人間
たちに存在をアピールすることで新しい命が新
天地に旅立って行くのです。
一般的に植物は自由に移動出来ない、と思われ
ています。しかし、人間の生きている時間とは
全く異なるスパンで生きているということに気
付くと、せわしなく移動している私たち人間の
方が、案外気の毒な存在なのかもしれないと思
えたりもします。
ヤブラン(花)
今年もヤブランの花の季節となりました。
薄紫色の花は小さな実のように見えますが、
実際は花の集まりで実は初冬につきます。
ヤブランは、葉に縞模様があるものとないもの
があります。多くは庭の木々の足元を隠すため
に植えられたり、庭石のすき間を埋める目的に
使われます。暗くなりがちの場所にこの明るい
縞模様を配置すると光が射したような効果をも
たらします。主役ではないけれど良い味を出す
脇役といった感じでしょうか。
ヤブランは、厳密には蘭の仲間ではないのです
が、葉がシュンランなどに似ていることから藪
に生える蘭といった軽い感覚で名付けられてし
まったようです。
暑い夏が去って秋風が吹く今ごろの季節は、風
に揺れるヤブランの葉と涼しげな花色にホッと
します。1年中ほとんど姿を変えることなく、
丈夫なヤブランが、今日の誕生花だとラジオか
ら流れてきたのは偶然の一致でした。
トチ(実)
5月の下旬にたくさんの花をつけていたトチが
実をつけています。
あんなにたくさんの花を咲かせていたわりには
実の数はまばらでちょっと期待外れです。
木の下を歩くと大きな果実が落ちているのが目
につきます。果実は硬い殻に覆われていて中に
はクリに似た種が入っています。果実は大きな
ものは直径6cm近くあり、掌に載せてみると
ずっしりと重みを感じます。
花のころ、青々としていた大きな葉もうっすら
と黄色味を帯びてきています。季節は、確実に
進んでいます。11月になると、葉は黄葉して
晩秋の午後の日差しを受けて金色に輝いて見え
るようになります。
今年は、予定していた楽しみがことごとく中止
になって自粛だらけの1年です。元々そんなに
出歩かない私でも息苦しさを感じているのです
から元気な若い人達はさぞかし不自由を感じて
いることでしょう。
9月もあっという間に半分以上終わってしまい
ました。こうなったら今年はさっさと終わって
もらって来年は良い年になるといいなぁと都合
の良いことを考えています。
<追記>2020.09.26
拾って来た実をしばらく置いておいたら殻に
ヒビが入り簡単に手で割ることが出来ました。
中にはツヤツヤ実が入っていました。