マユミ(実)
今年もマユミの赤い実が見られる季節となり
ました。
くすんだピンク色の果実が割れて中から赤い
種が出ているのは、まだ果実のほんの一部な
のでこれからまだしばらくこの可愛い様子を
見ることが出来ると思います。
マユミの木は、良くしなることから昔は弓の
材料としてして利用されていたそうです。弓
の美称を真弓と呼ぶそうですが、たまに女性
で真弓さんという名前の方もいますね。
私の高校時代の友人にもこの字を使ったマユ
ミさんがいました。今はすっかり疎遠になっ
てしまいましたが、元気でいるといいなぁと
時々思い出しています。
私が、育った地域から遠く離れてしまったの
と同じように彼女も離れた地方に行ってしま
ったので近状を知るのはごく親しい人たちだ
けになっています。
大人になると人は、色々と複雑な事情を抱え
て無邪気に自分の話をしたり、尋ねたりする
ことが難しくなります。でも、フッとした時
に遠い時代の友達のことを思い出し、幸せを
祈ったり、祈られたりしているに違いないと
私は思うのです。
コムラサキシキブ(実)
昨年より少し遅れてコムラサキシキブの実が
紫色に色付いてきました。
この実は、透明感はないのですが、不思議な
魅力を持った実です。
何かに例えることが出来るだろうか?と考え
てみましたが、思いつきません。
ブドウの色は、もっと暗い紫ですし、ジャノ
ヒゲの実の紫はほとんど青に近い色です。
ムラサキシキブの仲間の実の色は、唯一無二
の色だなぁと思います。
ようやく長い雨が止み気がつくと雑木林の
木々の先が色付き始めています。
季節は確実に進み、風景の色は段々と茶系の
色を強め、鮮やかな色の花を見ることもなく
なりました。
ムラサキシキブの仲間の実は、茶色をバック
にすると大変目立ちます。こっくりとした茶
色のセーターにこの実のような小さなブロー
チをつけたらざそ映えることでしょう。
20代の若さ溢れる方にはムラサキシキブの実
の色のブローチは地味過ぎるでしょうが、年を
重ねた方が、そのような装いをされたらきっと
素敵だろうなぁと想像しています。
今日の空47
雲の向こうに太陽が透けて見えます。
もうずいぶん長いこと青空を見ていない気が
します。いったいいつになったらスッキリと
晴れるのかなぁ。
毎日朝起きては失望を繰り返してため息をつ
くのが日課になっています。明日から晴れる
という天気予報の太陽マークは、次の日にな
ると日々後ろへ繰り延べになってもう信じら
れなくなっています。
こんな冴えない天気でも元気な生き物がいる
もので、カエルが、梅雨時かと思うほど大き
な声で鳴いているのが部屋にいても聞こえま
す。外では、よく見ると木の枝に登っていた
り、地面にほとんど同化しているものも見か
けます。生き物たちは、そろそろ冬眠に入る
時期ではないか、と思っていたのですが、
カエルは、まだまだ!っと言っているかのよ
うに元気そうです。
晴天の時は、太陽は直視してはいけない、と
言われています。それぐらい太陽の光は強烈
ということです。雨か霧かわからないほど微
妙な水滴が空気中に漂う天気は、滅多に見る
ことの出来ない太陽の輪郭をお月見のように
眺られる絶好の機会をくれるのだと教えられ
ました。
イチジク(実)
小粒のイチジクの実が、スーパーの野菜売り場
にたくさん並ぶ季節になりました。
この地方では、小粒のイチジクを甘露煮にして
食べる風習があるようで、初めてたくさんのイ
チジクを目にした時はちょっと驚きました。
幼い頃、住んでいたアパートの裏庭にはイチジ
クの木がありました。秋になると実がなって
大人たちはそれを取って美味しそうに食べてい
ましたが、私はあのねっとりとした食感が苦手
で一度食べてからは遠ざかっていました。両親
は、たまに果物売り場にある大粒の実を買って
まで食べるほど好きですが、私にとっては、長
い間苦手な食べ物のままでした。
両親がトルコ旅行へ行き、一時我が家はトルコ
ブームの時期がありました。ドライフルーツの
イチジクはトルコの主要な輸出品で親達が美味
しいというので恐る恐る食べてみると、あら不
思議!あの生のイチジクにある、ねっとりした
食感は、全くなく中の種がプチプチして別物の
ように美味しい! 長く生きていると思わぬ
ことが、起こるものだなぁと驚いています。
ミゾソバ(花)
すっかり空っぽになった田んぼの水たまりや
水路の湿った場所でミゾソバの花がにぎやかに
咲いています。
ピンク色の花は、とても小さく私が、花だと思
って見ていた部分はガクだそうです。実際の花
は、真ん中のほんの一点だけです。葉の形が、
牛の額に見えることからウシノヒタイという別
名で呼ばれることもあります。
刈り取りの終わった田んぼは、イネが植わって
いた時に比べると広くなったような印象を受け
ます。イネの切り株からは緑の新しい芽がもう
出ており、ちょっと田植えの終わった直後の風
景に戻ったように見えて不思議。土に根を残し
ている切り株は、霜が降りるまで生き続けてい
るのです。
ピンク色のミゾソバは、晴天の下でちょっと
ピカピカ光っているように見えます。まるで、
今だけは自分達が主役の季節だ!と主張して
いるかのように。
霜が降りるとミゾソバは、赤く染まって草紅葉
となります。小さな実をつけた葉と茎はやがて
茶色く染まって土に還っていくのです。
今日の空46
明日から天気は、下り坂という日の夕方は、
雲が帯のように横たわって空に伸びています。
雨を降らす雲の端っこと青空がせめぎ合って
いるのが下界からもうかがえます。太陽が、
西の空に瞬く間に沈んで行き、冷たい風が吹
いてきます。
今月が誕生月の私は、年に1回心のリセットを
します。もう親も祝ってはくれない年になって
しまいましたが、それでも毎年自分なりの心の
整理を簡単にします。
友人から誕生日のお祝いメッセージが届きま
した。おねだりしていた空色に白い絞り模様が
入ったアサガオの種も同封されています。
暖かい言葉と私が望んでいることを確実に
キャッチしてくれる有難い存在。
世界中にものはあふれているけれど本当に欲し
い物や事を手に入れるのはなかなか難しい。
来年の春、種を蒔く時、彼女を想い、夏に花が
咲いた時、また彼女を想います。
毎日が晴れではないけれど、時々心が温まる種
があれば、人生は生きてけることを私は知って
いるのです。
キンモクセイ(花)
天気は良くなかったのですが、このところ雨が
降らない日が続いていました。
キンモクセイは、晴天の乾燥した日よりも湿度
の高い曇天により強く香ってきます。
この辺りは庭にキンモクセイを植えている方が
多く、今は町内一面が甘い香りに包まれている
状態です。
曇天の中、母と散歩に出ると急に空が晴れてき
て青空が広がりました。住宅街の歩く先々に
キンモクセイの木があります。青色とオレンジ
色のコントラストに惹きつけられます。カナダ
のプリンス・エドワード島の風景も素敵ですが
日本も負けてはいない!と思うのはこんな時
です。
テレビで赤毛のアンの放送が始まって母は夢中
になっています。本も読んでみたいので図書館
で予約をして欲しいと意気込んでいます。
「アンは、どんな女性に成長するのかしら?」
と女学生のようにワクワクしています。
いくつになっても夢見る夢子さんの母は、これ
から来る長い冬の楽しみを見つけたようです。
ヤマボウシ(実)
今年は、ヤマボウシの実りが悪いようです。
6月に花は、たくさん咲いていたのですが、
実をつけている木を探すのが大変なほど少ない
です。昨年は多くの木に赤い実がついていたの
ですが、どうしたことでしょう。
季節が巡って、毎年同じような顔ぶれの植物を
ブログに載せていますが、毎年全く同じという
ことは決してありません。最初は、季節ごとの
植物の花や実の見頃の備忘録になれば、と思っ
て始めたブログでしたが、過去の記事を見返し
てみると、随分違うことに気付かされます。
一番の原因は、このところの気候の変動が激し
いためでしょうが、私自身の立ち位置が不安定
で、その日によって親の機嫌や体調が悪く、観
察に行かれる時間や日にちが定まらないためで
もあります。
今年は、日本付近はラニーニャ現象が発生して
いるそうで、暑い夏の後は、寒さが厳しい冬が
やって来るそうです。ということは、雪かきが
欠かせない冬となりそうで、今からもう気が重
くなっています。
ヒメツルソバ(花)
数年前、歩道橋の下の小さな植え込みから
少しだけもらって来たヒメツルソバが今年は
だいぶ増えました。
夏の日差しがカンカン当たるのは苦手らしく
今年はアサガオの日陰になったのが幸いして
地面を這って勢力範囲を広げています。
秋になって、アサガオのツルが萎れ始めると
ついに自分の天下になったと言わんばかりに
元気にコンペイトウのような花をたくさんつ
け始めました。秋が深まれば、葉も赤く紅葉
します。
ヒメツルソバは、園芸店で売られている場合
はポリゴナムという名前で並んでいることも
あります。葉に斑が入る種類と入らない種類
があり、入らない方がより丈夫だということ
です。
庭の地面は、土がむき出しになっていると雑
草が生えてしまいます。でも、地面を覆うよ
うな植物が先に生えていれば雑草は生えにく
くなります。そのためグラウンドカバーと呼
ばれる地面を這う性質のある植物を植えると
雑草対策に良いと言われています。
雑草との闘いは本当に骨が折れるものなので
この可愛いヒメツルソバが増えて少しでも助
けてくれたらいいなぁと期待しています。
イタドリ(実)
夏に小さな小花を咲かせていたイタドリが
今は、実をつけています。
ちょっとした空き地や土手など至る所に増
えてしまうため今は困った存在ですが、漢
方薬や太い茎は杖の材料としても役に立ち
利用価値のある植物です。
冬になると地上部は枯れてしまいますが、
春に出した若い芽は、山菜として食べるこ
とが出来ますし、昔の子供はスカンポと呼ん
でおやつ代わりにしゃぶっていたと両親から
聞いたこともあります。また酸味があるので
それを利用してジャムのようにして食べるこ
とも出来るそうです。
イタドリは、雄株と雌株があり、雌株にだけ
写真のような羽根のついた実がなります。羽
根の中心部が種で風に乗って遠くに飛ばされ
ることで爆発的繁殖を持つのです。
茎と同様に根が丈夫なことを利用して崖崩れ
などの修復に土留めとして利用されることも
あります。ただ強過ぎる根は、コンクリート
も突き破ってしまう威力が仇となって現在は
嫌われ者的存在です。
どんなものでも良い面と悪い面があるもので
す。悪い面があるからといって根絶やしにす
るのではなく、良い面を生かして共存してい
けたら良いのになぁと思っています。