今日の空73
冬はそう簡単にあきらめたりはしません。
再び雪と風が吹き荒れました。
今日は、病院へ薬を貰いに行かなければならな
い、明日までの分しかない、と言われていたの
で雪でも出かけなければならないと覚悟してい
ました。積もってはいなくても運転していると
前方から雪片が次々と吹きつけて来きます。
病院へ行く前に炊飯器を買い替えたいので電器
店に寄って欲しいという要望も直前に受けてい
ました。まずは炊飯器を物色して病院へ向かい
その後スーパーへ寄りました。食料品と肌着を
買って帰宅する頃には、雪も小止みになってき
てやれやれ。
両親たちは買い物が大好きです。ちょっと珍し
い物、テレビで宣伝していた物などが目に入る
とすぐ買おうとします。その物が自分に必要な
物か、価格は適正か、などと検討せずに。
高度成長期やバブル経済期に人生の盛りを過ご
した名残なのでしょうか?すぐにあきてガラク
タがこれ以上増えるのは避けたい私。一度自分
の家に入れたら、決して捨てようとしない父の
習性に対応するには極力物を家に入れないよう
にするしかありません。
何十年も前に使用していたネズミ捕り器まで引
越す度に持ち運び、物置に後生大事に取ってあ
る気味の悪さったら。。。
こけし雛2
昨年、数十年ぶりに発掘されたこけし雛を
今年は、早めに出して飾りました。
昨年は、発見したのが雛祭りの直前だったため
手近にあった道具でお茶を濁してしまいました
が、今年は緋毛氈だけ新調しました。(といっ
ても100均のフェルトですが)
この人形のいわれについては、全く記憶にない
のでどこで作られ、どういう経緯で伯母が手に
入れたのかもわかりません。ただ伯母がくれた
時点でかなり木の色が茶色くなっていたので古
いものなのだろうと思っています。
伯母は、父の兄弟姉妹の中ではとても愉快な性
格の人でした。若くしてご主人に先立たれ、そ
の後奮起して保育園の園長先生まで務め、一人
娘を育て上げました。決して優等生ではなく、
むしろ劣等生に属するタイプだったみたいでし
たが、裏表のない人でした。
このこけし雛を貰った時、私は小さすぎて女性
が子供をかかえて一人で生きて行く大変さを全
く理解出来ていませんでした。現在でさえ大変
でしょうに70年以上前の話です。
もっともっと長生きしてもらい、色々な話を聞
きたかったなぁ、と雛祭りが近づく度に思い出
す人なのです。
イタチ(幼獣)
少しずつ春が近づいているのを実感出来るよう
になってきた日、母と散歩に出かけました。
いつもとは逆回りに散歩コースを辿ると田んぼ
の用水路に小さなフサフサした毛の生き物がい
るのを見つけました。
少しずつ距離が縮まっていくのにその生き物は
逃げようとしません。 とうとう2mくらいま
で近づくと急に踵をを返して水路の下の空間に
入り込んでいきました。フワフワの尻尾を持つ
イタチの子供だったのではないか、と推測して
います。
イタチは、昨年の夏、もう少し山の方で出会っ
たことがありましたが、その時は成獣でした。
今回出会ったのは見るからに小さい子供のイタ
チで多分、人間を見たのが初めてだったのでは
ないか?という反応でした。まるで昔、教科書
に載っていた新美南吉の「手ぶくろを買いに」
の子ぎつねのよう。人間を知らないために私と
母を不思議そうに見つめてしばらく動きません
でした。
イタチは冬眠しない生き物だそうです。でも、
冬の間、田んぼは、生き物の気配が全く感じ
られませんした。厳しい冬を乗り越えた小さな
命が春を告げてくれた午後でした。
今日の空72
昨年の後半からたま~に学生時代の友人とグル
ープLINEで短いおしゃべりをしています。
それぞれ親と同居しつつ、家事や仕事もあるの
で都合の良い時に勝手に書き込んで返事もゆっ
くりポツン、ポツンと返って来るノンビリした
ものです。
学生の頃は、毎日顔を合わせていたのに今はみ
んな離れ離れの場所に住んでいる。スマホを通
しているとはいえ、あの頃と同じような気持ち
で向き合えるのは何とも不思議で嬉しい!
私の世界はとても狭くて、引越して来たのもあ
って近所の人くらいしか知り合いもいません。
新しいことを始めようにも両親が異常に心配す
るのでそれを説得するのも何だか面倒で全く世
界が広がりません。
両親は2人とも兄弟姉妹の多い大家族の下の方
の子供だったため、自分の親の老後の世話など
はしたことがありません。長男長女がすべて担
ってくれたからです。代わりに財産などという
ものは、無く自分の生活は自分で何とかして生
きてきたようです。
それなのに自分の老後は、子供が身近で見守る
のが当然だと思っている。何だか矛盾している
と思います。それが老化というものなのか?
今は、風のように微かに吹き込む友人から言葉
に癒され、出来ることをやっていくしかない毎
日です。
ウメ(蕾)
固い梅の蕾もようやく白くなってきました。
あと数日で花が開くでしょう。
両親は、代わり番こにウメの木の下に立っ
てはしばらくの間眺めています。
その様子は、春を待ち望んでいる姿そのもの
です。
年老いてからの体調の変化は、個人個人違う
ので実際に年を取って本人でないとわからな
いものだと思います。持って生まれた体質や
その家ごとの食べ物の好み、長年の生活習慣
などによって人それぞれ、肉体の衰え具合が
異なるのでしょう。子供の私でさえ○○が痛
いと言われてもどのように痛いのかは具体的
にはわからないのです。
例年になく厳しい寒さと雪に悩まされた私の
住む地方も少しずつ春の兆しが見られるよう
になってきました。老体には一段と辛く感じ
た冬だったのではないか、と想像しています。
私が本当に両親たちの冬の辛さを実感出来る
のは両親と同じくらいまで生きた時です。
それまで私の命が続くのかどうか、そして同
じような辛さを味わうのか、それはその時に
なってみなければわからないことです。
キリ(冬芽)
キリの花が咲くのはまだまだ先の話ですが、
今年もたくさんの冬芽がついているので花を
たくさん見れそうだなぁと今から楽しみにし
ています。
キリは、上品な紫色の釣鐘型の花がいくつか
固まって咲きます。古くから高貴な家の家紋
としても利用され、今は日本国政府の紋章と
して総理大臣が正式な記者会見をする時も背
景に使われているのを目にします。また、身
近なところでは500円硬貨の表面にも使わ
れています。
この辺りでは、5月中旬くらいが花の時期で
すが、花が咲く木はかなり高木に育っている
ため、うっかりしていると見逃していること
があります。歩いていて花柄が落ちているの
に気付いて、ああ、キリの花が咲き始めたの
だ!と気付くのです。
昔は、女の子が生まれるとキリの木を植えて
お嫁に行く時にそれでタンスを作って持たせ
る風習があったそうです。キリの木は生長が
早く、木材としても軽くて丈夫だったためで
しょう。
今は、暮らし方も変わり大きなタンスを持参
して結婚する人もほとんどいなくなりました
が、ホームセンターの木材売り場で見かける
桐材でも軽くてスベスベした木肌に触れる度
にキリっていい木だなぁと思います。
今日の空71
強い風が吹く季節になりました。
大きな雲が上空を次々と流れていきます。
雪山から下りて来る風は、冷たい北西風です。
昨日は灯油を購入する日だったのですが、父が
うっかりポリタンクを出して置くのを忘れてし
まいました。巡回して来る業者は、週に1回な
ので全然ないわけじゃないけど備蓄が心もとな
いということで急遽、私が車で買いに行くこと
になりました。
ガソリンスタンドは、山を下りてすぐです。風
が酷かったのですが、スタンドの若いお兄さん
が2丁拳銃のように給油ノズルを操って2個の
ポリタンクに同時に詰めてくれたのですぐに戻
ってくることが出来ました。あまりにすぐ戻っ
て来た私に、両親はビックリだったようです。
私にとっては車で運ぶのはあっけないほどラク
だなぁって感じだったのですが。
以前、弟と一緒に暮らしていた頃は車がなくて
自転車の荷台にタンクを括り付けて灯油を買い
に行ってました。今よりは暖かい地方に住んで
いたので量は少なかったのですが、それでも結
構大変でした。その頃のことを考えたら車の力
は偉大です。普段は、車に対して文句ばかり言
っている私ですが、やはり今の生活にはなくて
はならない物だなぁと身に染みて感じました。
ソシンロウバイ(花)
待ちに待ったロウバイの花が咲き始めました。
図書館に行く途中に見つけた木です。
そんなに大きな木ではありませんが、たくさん
の花をつけており、まだ蕾もたくさんあるので
次回、図書館に行く時も観られそうです。ロウ
バイは、香りも良いです。蝋細工のような半透
明の黄色い花の下に立つとたちまち爽やかな香
りに包まれます。
ロウバイは、バイとつきますが、本来はウメの
中国原産の落葉樹です。香りの良い点と花の付
き方がウメに似ているためにこう呼ばれるよう
になったようです。
花が、咲いているロウバイの枝をよく見ると、
茶色くカラカラに乾いた実が残っているのをよ
く見かけます。ちょっと落花生のような感じの
実の中にはこれまたピーナッツのような種が6
個前後入っています。この種を蒔くと、意外と
簡単に芽が出ます。我が家にあるロウバイもこ
のようにして芽を出した木です。まだ、花は咲
いたことはありませんが、両親が元気なうちに
花が咲いたのを見せたいなぁと待っています。
スギ(雄花)
季節はずれのクリスマスツリーのようになって
いるスギの木は、雪をたくさんかぶっているの
に花芽はパンパンに膨らんでいます。
昨年雪が積もらなかった反動なのか、2月に
なっても毎日のように雪が降ります。気温もな
かなか上がらず南の方から聞こえてくる春の様
子を羨ましく思って春の兆しはないものか、と
探し回っています。そんな中、目につくのがス
ギの雄花が今にも弾けそうな様子。
関東地方より西の方ではすでに花粉が飛び始め
ているようです。私の住む地方でも花芽の様子
からもうまもなく飛び始めることでしょう。
花粉症持ちの私にとって春は嬉しい反面、鼻水
とクシャミに悩まされる憂鬱な季節でもありま
す。不思議なことにここに越して来てから以前
より症状が軽くなったような感じなのですが、
これが環境の変化のためか、年を取ったためな
のかは不明です。
コロナウィルスについて真剣に問題視され始め
てからほぼ1年が経ちました。
都市部に出されている緊急事態宣言の効果も出
始めているようです。知恵を出し合って人智を
超える脅威と戦う毎日です。みんなウンザリし
ているのは一緒でしょう。でも、なんとかここ
でウィルスに打ち勝って自由を手に入れたいも
のです。
ヒナゲシ(花)
この時期、私が花屋さんで選ぶ花はヒナゲシ
(別名ポピー)です。
露地物のヒナゲシが、咲くのはこの辺りでは
5月に入ってからですが、房総半島などから
来るヒナゲシの切り花はイキが良ければ毛む
くじゃらの蕾もちゃんと最後まで開いて楽し
ませてくれます。
ヒナゲシは、ヨーロッパ各地に自生している
ありふれた花ですが、日本でただケシと呼ぶ
花は同じケシ科の植物でも、麻薬の原料とな
る成分を含むため栽培が禁止されています。
華奢なヒナゲシと比べると写真や映像でしか
みたことがありませんが、麻薬のケシは大き
くてボリューム感がありました。
暖房の効いた部屋に置いておくとヒナゲシは
次々と花を開いてきます。花が開く瞬間を見
たいと思って見つめているとなかなか開かな
いのにちょっと席を外したスキに一番外側の
毛むくじゃらの蕾の殻が外れて落ちていたり
します。殻が外れたばかりの花はしわくちゃ
の色紙のようです。花びらは薄く向こう側が
透けて見えるようですが、少しずつシワが伸
びて中心の雄しべや雌しべが見えるようにな
ります。(セミの羽化に似ているような?)
自分のために切り花を買うことなんてめった
にありませんが、一番花がない季節にヒナゲ
シを買うことだけは多めにみています。