ジューンベリー(花)
昨年までは何の花だろう?と思っていたジュー
ンベリーの花が、今年も近所のあちらこちらで
咲きました。白い繊細な花びらは、強風に煽ら
れやすいので写真を撮るの苦労しました。
ジューンベリーは、ザイフリボク属の落葉樹で
アメリカザイフリボクとも呼ばれるそうです。
カナダからアメリカにかけての大西洋沿岸に分
布し、6月に赤い果実が収穫出来ることからジ
ューンベリーという名前がつきました。
ザイフリボクの仲間は、日本ではシデザクラと
呼ばれる木があり、細長い白い花は、ジューン
ベリーとよく似ているようですが、私はまだ見
たことがありません。
ジューンベリーの木は、それほど大きくならな
いうちから花をたくさんつけ始めます。一枝に
付く花数も多く、盛りの時は木全体が白い花に
覆われて清楚な中にも華やかな雰囲気をあわせ
持つ魅力的な木です。そのため、遠くからでも
咲いているのが目立ち、見つけるとつい近寄っ
て確かめたくなってしまいます。
少し暖かくなったかな、と思ったらまた冷たい
冬のような空気が戻って来る天候が続いていま
す。早くジューンベリーの実る頃のような身軽
な季節が来ないかなぁと首を長くして待ってい
ます。
シラネアオイ(花)
によく似ています。花びらのように見える4枚
の萼片は柔らかく、なんとも優美な印象。
山野草愛好家の憧れの的ですが、野生種はほと
んど見ることが出来なくなり、絶滅危惧種に指
定されています。かつては、日光白根山でよく
見られたことからついた名前ですが、今では余
程の深山に入らなければ目にすることが出来な
くなっています。
昨春、近所を散歩していていつもは通らない道
を通ってみるとある家の落葉樹の下に薄紫色の
花びらが揺れているのを見つけました。よく見
ると写真でしか見たことのないシラネアオイの
ようでした。こんなところで出会えるなんてビ
ックリです。花の命は短く、花が終わると跡形
もなく消えてしまうので、今年も半信半疑のま
ま再度、その庭を見に行ってみると、昨年より
少し花数は少ないながらも、今年もシラネアオ
イは咲いていました。最近は、種から生産され
た株が出回るようになってきたそうなのでその
ような苗を大切に育てているのかなぁと想像し
ています。
シラネアオイは、暑さに弱いと聞いています。
深山でしかお目にかかれないこの花を、住宅街
で育てる苦労は大変なものでしょう。持ち主の
方に蔭ながら感謝して楽しませて頂いているの
です。
ハナミズキ(花)
この辺りでもハナミズキが咲き出しました。
この木は、咲き始めは少し黄色味を帯びた
白花ですが、段々と白さを増してきます。他
には薄紅色、濃い赤色などの花もあります。
ントンD.Cへサクラの木を送った返礼品とし
て日本へ入ってきました。この話は、有名な
話ですが、現在のように街路樹として一般的
になったのは平成時代に入ってからのように
記憶しています。
毎日忙しく生活している頃、自分のことで精
一杯で街の風景が変わっていることにも無頓
着になっていました。気が付いたら慣れ親し
んだ街並みがゴッソリ変わっていたなんてこ
とも私が若い頃は度々ありました。あの頃は
丁度、バブル景気と年号が変わるのが重なっ
たので世の中が新しいことを取り入れるのに
日本中が夢中だったなぁと思います。
落ち葉が少なく、枝も大きく張らないハナミ
ズキは街路樹としてピッタリな条件を備えて
いたため、今や日本中でよく見る木です。別
の木がすっかり日本に根付いたのはなんだか
んだ言っても平和な時代が続いたお蔭だった
のだ、とコロナ禍中で思うのです。
キバナオドリコソウ(花)
昨年見つけたキバナオドリコソウがそろそろ咲
いたのではないかと思って近所の公園へ行って
みました。
冬の間はすごく小さくなっていたのに、倍以上
の草丈になり、特徴的な黄色い花が咲き出して
いました。
この植物は、葉に白い斑が入っていて木漏れ日
がチラチラと入る半日陰の場所を好んで生えて
います。常緑性で本来は、園芸品種のはずです
が、公園から繁殖範囲を拡大して隣りの雑木林
の方まで広がっています。
一緒に見に行った母は、昔はピンク色のオドリ
コソウをたくさん見たけど最近は見なくなった
ね~としみじみと言っていました。外来種のヒ
メオドリコソウは、至る所にありますが、オド
リコソウは本当にこの辺りでは見たことがあり
ません。絶滅危惧植物には、まだなっていない
はずなのですが。。。
キバナオドリコソウは、ツルを地面にはわせて
広がっていきます。元は、西アジアからヨーロ
ッパにかけての生まれですが、今では逸出帰化
植物として各地に広がっているそうです。
暖かい地方ならまだしも、今でも早朝にはまだ
5度前後まで気温が下がる厳しい環境なのに少
しずつ勢力を広げています。
植物は、意志など持っていないと思いますが、
生き残ろうとする力は人間よりもずっと強いの
だろうなぁと感心して見ています。
山笑う
俳句の春の季語に「山笑う」という言葉がある
そうです。
家の周囲の山々がようやく色付いてきて写真の
ような風景になると、このような風景のことを
いうのかなと思いながらいつも眺めています。
静まり返った冬の山は、「山眠る」。
青々とした夏の山は、「山滴る」。
鮮やかな秋の山は、「山粧う」。
日本語の豊かさを実感するのは、このような言
葉を知る時です。
この辺りでは、折角降った雨の水も毎日の強い
風であっという間に吹き飛ばされてしまってい
ます。この風は、どうして毎日吹くのだろう?
と不思議に思うほど吹き続けています。
山の麓の田んぼには水が張られ始め、どこから
現れるのか一斉にカエルの賑やかな声が聞こえ
始めています。ようやくホッと一息つける季節
を「笑う」という言葉で表現するセンスは素敵
だなぁと思います。
コロナウィルスのことだけでなく、色々な面で
閉塞感に包まれているとついついトゲトゲしい
感情になってしまいます。いつも親たちが優先
で思い通りにならない時でも面白くないからこ
そ笑ってみる。笑っていると心が軽くなってく
るのはなぜなんでしょう。
スノーフレーク(花)
ベル型の花の先端にはグリーンの水玉模様があ
り、なんとも愛らしい花です。
急に初夏のような気温になった庭は、どの植物
も大慌てで成長し始めました。スノーフレーク
も咲きそうで咲かなったのに一斉に開き始めま
した。
別名通り、スイセンの仲間ですが、花の形は普
通のスイセンとはだいぶ異なります。暖かくな
っても風が強く吹き続けるこの地方では、雄し
べや雌しべを守るために適している花かもしれ
ません。本来は、中部ヨーロッパが原産のよう
ですが。
スノーフレークとよく間違われる花にスノード
ロップという花があります。スノードロップの
方が早く咲くと聞いていますが、我が家にはな
いので実際に比べたことはありません。今年の
秋に球根を探して比べてみようかなぁと思って
います。
春に花が咲く球根植物は、ほぼ半年かけて花を
開きます。夏に花が咲く球根植物に比べると、
倍くらい成長に時間がかかります。
今は、何事も簡単で時間がかからないことが良
しとされる世の中ですが、半年間、待って待っ
てやっと咲いた花の嬉しさを思うと時間がかか
ることも価値あることなのかも、と思えてきた
りします。
ハナズオウ(花)
近所の庭でハナズオウの花が盛りです。
ハナズオウの花は、独特で幹から直接、花が
咲き出します。普通、木に咲く花は枝先から
茎を伸ばして咲くのですが、ハナズオウは違
います。なんともユニークな咲き方です。
ハナズオウは、雑木林ではなく主に、庭木と
して栽培されるマメ科の植物です。花が終わ
るとサヤに包まれた実がなり、エンドウ豆そ
っくりの形をしています。サヤは、花後、緑
色から茶色になり、冬になっても幹についた
ままなこともあります。枝が横に伸びない樹
形のため、地面から伸びた幹は常に、上へ上
へと伸びてスリムな印象の木です。
先日、別の家の庭で白い花のハナズオウを見
ました。後で調べるとシロバナハナズオウと
いう品種のようです。ハナズオウは、赤紫色
だけ、と思い込んでいたので意外でした。
固定観念にとらわれている間に物事は、変化
しています。出来ないことが出来るようにな
っていたり、なかったものがあるようになっ
ていたりします。
肉体の衰えはどうしようもありませんが、せ
めて柔らかい頭でありたいと思うのでした。
ワスレナグサ(花)
今年も庭のワスレナグサが咲き出しました。
種をパラパラと適当に蒔いて自然に任せて
いただけなのに丈夫な花で勝手に増えてい
ます。
昨年、あまりに増えすぎたので少し減らす
と言って母がだいぶ選抜したために今年は
いつもより少なくなったのですが、そのこと
を母はすっかり忘れてしまったようで、今年
はワスレナグサが少ないわね~と言っていま
す。
週初めにまとまった雨が降り、庭の植物達も
ホッと一息ついたような気配を感じます。
冬にたくさんの雪が降ったのだから水分は足
りているだろう、と思いがちですが、やはり
雪と雨は違うのです。春の雨に何度も何度も
洗われて木々と種は芽吹くのです。
潤びる(ほとびる)という言葉があります。
水分を含んでふやけるという意味ですが、春
はまさにそんな言葉がピッタリな季節です。
雨が降って太陽に温められ、また雨が降る。
冬の寒さと乾燥によって固く閉じてしまった
気持ちを静かに解放してくれる青い星のよう
な花が、ワスレナグサです。
モミジイチゴ(花)
モミジイチゴは、雑木林の日当たりの良い
入り口付近にたくさん生えている落葉低木
です。
春になるとサクラによく似た花をいち早く
咲かせて太陽のエネルギーを蓄えています。
周囲の木々が、まだ枝先に小さな葉や花を
少しだけ出しただけの中、モミジイチゴは下向
きではありますが、たくさんの花を枝一列に並
べて咲きます。
イチゴの仲間は、不思議な植物です。
私達が1粒だと思っているイチゴの1塊は、た
くさんの実の集合体です。食用イチゴの粒々は
退化して小さな実の痕跡は、表面の種に残って
いるだけですが、モミジイチゴの実は、まだよ
く見ると小さな粒々を肉眼で確認することが出
来ます。その小さな粒の中にはもちろん種が入
っています。
他の木々が葉を広げる前に太陽を燦々と浴びて
蓄えたエネルギーは6月頃になるとオレンジ色
の美しい実となって枝先に下がります。周囲は
すっかり緑の藪となって人間は容易に近づけな
い場所となります。それでも子供の頃の私は、
モミジイチゴのトゲで傷だらけになりながら実
を取っていました。モミジイチゴの生き残り戦
略も、子供を敵にすると少々不利です。
ナズナ(花)
田んぼの土手の斜面にナズナが、大きく育って
風になびいていました。
いつの間に?と思うほど一面ナズナに覆われて
いて、丈も50㎝以上ありそうです。
私の住む地域は、今年の春も雨が少なくわずか
に降った雨も連日の強風であっという間に吹き
飛ばされてしまっています。地面はパサパサに
乾いて庭の植物はグッタリしているものが多い
のに、野草たちはいたって元気です。
日本人に馴染んだ野草で冬の青物が少ない時期
には貴重なビタミン、ミネラルの供給だったそ
うです。また薬用としても唾液や胃液の分泌を
促し、血圧降下作用があるといわれています。
ナズナは、日当たりの良い少し乾いた土地に生
えています。草丈を伸ばしながら下から花を咲
かせて先端に花がついていても下の方は、もう
種がついています。種の形が、三味線のバチに
似ていることからペンペングサと呼ばれること
もあります。
集団になって生えそろっているナズナは、強風
に激しく弄られてもお互いに支え合って倒れる
ことはありません。一面に生え揃ったナズナか
ら、強いものは美しいのだと教えられたような
気がしました。