淡々と・・・

淡々と過ぎていく日々、心にとまったひとこまを写真と短文で綴っています。

ガガイモ(実)

今夏もガガイモの花はたくさん咲いていまし

た。

でもここ数年いくら実を探しても見つけられ

なかったため、ちょっと興味を失いかけて花

の写真も撮っていませんでした。

11月になって久しぶりにガガイモが生えてい

る場所を通りかかりました。民家の植え込み

に自由にツルを伸ばしいるガガイモは、もう

少し茶色くなっています。ああ、今年も実を

見ることは出来なかったなぁと思いながら枯

れかかったツルを見渡すと目の前にサヤのよ

うな実がぶら下がっています。エッ、これが

もしかして実?今まで萎んでいた気持ちが一

瞬で膨らみました。

青味の残るサヤは、まだ閉じているため中の

種は見えません。花の大きさの20倍くらいあ

りそうなサヤは、あの小さな花からどうやっ

てこんなに大きな実になるのだろう?と思う

ほど大きく立派。なかなか実がなり難いとい

うのは大きな実をならせるためにたくさんの

栄養分を必要とするからかもしれません。

ガガイモのサヤはもう少しすると乾燥して弾

け、中から白い綿毛のついた種を見せるでし

ょう。幸運をもたらす伝説のケセランパセラ

ンの正体は、この種という説もあります。

いい事あるかな~。

 

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今日の空109

夕焼けのように見えますが、これは朝焼けの

空です。

日の出の時刻も6時台に突入して明るくなる

のがだいぶ遅くなりました。

夏は早くから目が覚めてしまうのに、冬はい

つまでも眠くて布団から離れ難いのは何故な

んでしょう?寒いのが苦手な私は、きっと身

体が冬眠したいと言っているに違いない、と

勝手に解釈しながら渋々蒲団を離れます。

急いで着替えてカーテンを開けると、たいて

い空には雲が浮かんでいて朝日に照らされて

います。オレンジ色に染まった雲を眺めなが

らどうしてこのような雲をバラ色の雲と呼ぶ

のだろうとぼんやりした頭で考えます。バラ

の花には赤や白や黄色もあるのに。

そしてハタっと思い当たります。そっか、バ

ラは美しいものの総称なのだと。バラ色の雲

とはバラの花のような美しい雲ということな

のだなぁ、と。

夜明け前の空にはオリオン座やシリウスが戻

って来て、冬が来たことを告げています。も

うすぐ朝焼けも見られずドンヨリと重苦しい

グレーの雲で覆われてしまう日々も近いでし

ょう。

束の間というのは日本古来の身体尺で掌の幅

くらい(指4本分)を指すそうですが、バラ色

の雲を楽しむ時は、私の大切な束の間の時間

です。

ケヤキ(紅葉)

買い物に行くスーパーの横のケヤキ並木が、

美しく紅葉しています。

運転しながらでは危ないので駐車場に車を止

めてから再度ゆっくりとケヤキ並木を眺める

と同じケヤキの木なのにそれぞれが、違う色

に染まっていることに気づきます。

あるものは、モミジのような真っ赤、またあ

るものはほとんど黄色ばかり、そしてオレン

ジ色のグラデーション。多分一緒に植えられ

た木々でしょうにどうして色が違うのだろう

と疑問に思いました。

大木に育つケヤキの木はその分、葉も大量に

つけています。秋になるとその大量の葉を落

とすため、時にはアスファルトの道でスリッ

プ事故の原因にもなります。地面が土ならば

大量の落ち葉は次第に土に還って豊かな土壌

を作る材料になるはずですが。。。

以前住んでいた所は、自生のケヤキの木が多

い所でした。元は田んぼだったというその辺

り一帯に大きなケヤキがたくさんあり、夏は

涼しい木陰を作り、冬は箒を逆さにしたよう

な樹形で枝を空一杯に広げる姿が美しかった

のを憶えています。

大人が3人ほど両手を広げて囲んだくらい太

い幹の木々を見上げながらこの木が生まれた

のは江戸時代ごろだろうか、と想像したこと

を懐かしく思い出しました。

ヘクソカズラ(実)

秋晴れの空の下、ヘクソカズラも実りの季節

を迎えています。

真夏の炎天下にも負けず、次々と可愛い花を

咲かせていたツルには今、金茶色の実がたく

さんついています。

名前の通りヘクソカズラは、青く熟していな

い実はかなりの異臭を放ちます。ところが、

熟してカサカサに乾くと不思議とこの臭いは

消えてしまいます。最近はこの実を使ってク

リスマスリースを作ったりもするようですが

昔はしもやけやあかぎれなどの薬として利用

していたそうです。日本中至る所で見かける

この実はこれからの季節さぞ重宝がられたこ

とでしょう。

金茶色の実は、周囲の木々の葉が落ちてしま

ってもかなり遅くまで残っています。今は薬

用に採る人もほとんどなく、冬の日差しを浴

びて光っているだけです。

日に日に日照時間が短くなっている現在、昼

間の暖かな時間は本格的な寒さが来る前に冬

ごもりに備える貴重な時間です。のんきに散

歩をするよりも1つでも仕事を片付ける方が

良いことはわかっているのですが、ついつい

足は野山に向かってしまうのです。

 

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ノコンギク(花)

長い長いノギクの季節もそろそろお仕舞いで

す。

ノコンギクは、たくさんのノギクの中でも一

番最後まで咲いている種類です。

薄紫色の花は、咲いている場所によって濃淡

があり、白に限りなく近い淡い紫から濃い藤

色までバリエーションに富んでいます。

お盆過ぎから咲き出すノギクの仲間は、最初

は日陰の涼しい場所から開花が始まります。

その後、段々と日が当たる場所へ移動し、最

後には稲刈りの終わった田んぼの中にまで進

出しています。地下茎で殖えていくため春か

ら夏の間は何度も草刈りに遭いますが、それ

でもめげることなく生き残って花を咲かせる

逞しい花です。

ノコンギクの紫色をもっと鮮やかに品種改良

したものをコンギクといい、園芸店などで販

売されています。野にある風情で色をもっと

濃くと誰かが望んだ結果生まれた花です。

春浅い頃から色々な花が入れ替わり立ち替わ

り私たちの目を楽しませてくれました。

植物自体は子孫を残すために花を咲かせてい

るだけですが、私たちはその花を見て色々な

ことを想います。ノコンギクが終われば山野

で見かける花はほとんどなくなってしまいま

す。長い忍耐の季節の始まりです。

 

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ゲンノショウコ(実)

夏の終わりからポツポツと咲き続けていたゲ

ンノショウコが、種をつけ始めています。

真っ黒に熟した種は、乾き切ると傘が広が

るようにサヤの端が跳ね上がり種を出来る

だけ遠くに飛ばす仕組みになっています。

種を飛ばしてしまったサヤの開いた形が、

お神輿のテッペンの飾りに似ているためミ

コシグサとも呼ばれるのはこのためです。

ゲンノショウコは、富士川を挟んで白花系

が東日本、淡紅系が西日本、紅花系が日本

海側に多く分布すると図鑑には書かれてい

ましたがこの苗は実は紅花です。普段、こ

の辺りでよく見るのは白花系なのにごくま

れに赤花系の株があるのはどうしたことで

しょう?日本海はここから随分と遠いはず

なのに。

以前書いたように、ゲンノショウコの種を

見つけると少しずつ集めて庭の隅に蒔いて

います。写真を撮ってからこの株の種も少

し頂きました。丈夫な野草ですから環境さ

え合えば来年の春には芽を出すでしょう。

草むしりに精を出す母は、庭中を雑草だら

けにするつもり?とご立腹ですが、私は庭

よりも野草が伸び伸びと茂っている野原が

好きなのです。ニヤニヤと笑って聞き流し

ています。

 

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雑木林6

雑木林が少しずつ色付き始めました。

全体から見ればまだまだですが、赤や黄色に

染まった部分が増えています。

中山間地と呼ばれるこの辺りは周囲をぐるり

と雑木林に囲まれた田んぼがほとんどです。

田んぼの真ん中に立てば、360度雑木林。

広大な平野に広がる水田地帯と違って中山間

地の田んぼは1枚1枚がそれほど広くはあり

ません。そのため機械化するには不向きな地

形として稲作をやめてしまう農家も多くなっ

ています。管理されなくなった田んぼはたち

まち雑草だらけになり、その後は木が芽生え

雑木林に還り始めます。

10月はあまり雨が降らなかったため、木々の

色付きは遅れがちでした。ところが、先日雨

が少し降った途端、木々の葉が一斉に赤味を

増しました。それは「一夜にして」と表現し

てもいいくらい鮮明なものでした。木々の色

付きには水分も深く関係しているのだなぁ、

ということがよくわかりました。

あと数日でグッと気温が下がってくると予報

が出ています。そうなれば木々の色付きはま

た一段と進み、一気にピークを迎えることで

しょう。その日もバックが青空に彩られる日

であったらいいなぁ、と思っています。

 

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ノイバラ(実)

昨年は11月下旬でも葉がたくさん残っていた

ノイバラが今年はもう実だけになってしまい

ました。同じ木でも毎年状況が異なるのはそ

れだけ気候変動も激しいからでしょう。

この木は住宅街の一角に1本だけ街路樹のよ

うに植わっているのですが、毎年花も実もた

くさんつきます。日当たり良いこと以外特に

変わったところは見られませんが、もしかし

たら向かいの家でお世話しているのかな?

ノイバラの実は偽果といって本当の実と種は

この中に入れ子状態で存在します。分かりづ

らい方はリンゴの実を想像してみると良いか

もしれません。私達が食べているリンゴの実

の部分も偽果です。種は中心部の痩果という

部分です。実の大小はありますが、リンゴも

バラ科の植物であることがこの構造からもわ

かります。

今はバラといえば花びらが多く、花型も大き

い園芸品種を想像する人が多いですが、これ

らの元となった原種のバラはわずか8~11種

類だといわれています。ノイバラもその原種

の1つです。

原種は、園芸品種が失ってしまった耐病性や

耐寒性を持っています。ノイバラの逞しさこ

そ、今の時代に必要とされているものなのか

もしれません。

 

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ツタ(紅葉)

今年は、いつもよりツタが真っ赤に色付くの

が早いような気がします。

いつも散歩の途中で見る壁にからみついたツ

タは、1年中折に触れて眺めていますがやは

り秋が一番美しい。

冬は葉が全て落ちてツルだけだった姿から春

になって新芽が芽吹き、夏は緑色のツヤツヤ

の葉に覆われます。その後、秋になり日に日

に赤味を増して行く様子は、見る度に変化が

あって楽しいものです。

ツタが覆っている壁はツタがなければ味気な

い白いコンクルートの壁ですが、ツタのお蔭

で白いキャンバスに描かれた絵のようにも見

えます。どんなに腕のたつ画家が描いたとし

てもこれ以上の出来にはならないだろう、と

思うような色に毎年完成する不思議。

今年はまだ強い風が吹く日があまりないので

葉はほとんど残っていますが、一度強風が吹

けばあっという間に葉はなくなってしまうこ

とでしょう。あと何回この光景を楽しむこと

が出来るか、壁の前を通る度にツタが描いた

キャンバスを「今日が最後かも」と思いなが

ら眺めるのです。

 

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リンドウ(花)

リンドウの花は、秋のほとんどの花が終わっ

た頃に咲き始めます。

青い花は宝石のサファイアを思わせるような

色で何度見ても惚れ惚れとしてしまいます。

この辺りではもう野生のリンドウを見ること

はほとんど出来なくなりましたが、園芸品種

のものは時々植えているお宅があり晩秋の日

差しの中で開いた花はずっと眺めていたい美

しさです。

我が家の庭のリンドウも10月の終わりになっ

て急に蕾が大きくなり咲き始めました。

日が射さない日は固く花を閉じているのに、

日が射すと冷たい空気に覆われていても花を

開きます。どの部分で日差しを感じているの

かよくわかりませんが、観察しているとかな

り敏感に日差しの量に反応しています。

どんなに天気が良くてももう暑いと感じる日

はありません。この地方は、春と秋は雨が少

なく乾燥する日が続くためカラカラに乾いた

空気に覆われるからです。

青く冴え冴えとしたリンドウの花が終わる頃

白いフワフワと漂う雪虫が見られるようにな

り、季節はまた一歩厳しさを増すのです。

 

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