淡々と・・・

淡々と過ぎていく日々、心にとまったひとこまを写真と短文で綴っています。

部屋

f:id:tantan_10:20191218115610j:plain

引越す直前まで暮らしていた私の部屋は

今はもうありません。

西向きで夏は苦しいほど暑い部屋でした。

その分、晴天の冬の午後はポカポカ。

引越し屋さんが荷物を全部運んで行った後

ガラーンとした部屋で最後に写真を撮り

ました。

暮らしていた時はなんて古いのだろう

と思いましたが、何もなくなってみると

そんなに悪くないような気がしているから

不思議でした。

春の光が当たる中でこの部屋で過ごした

ことを少しだけ思い起こして過ごしました。

窓の外にあったクスノキにヤマバトがよく

巣を作っていたこと。

台風が来ると屋根が飛ばされるんではないか

と怯えながら過ごしたこと。

隣にあった雑木林が次々と切られてしまった

こと。

6畳の部屋で経験した小さな日常の数々。

古ぼけた昭和の家は私が引越してすぐ壊さ

れたようです。

今では全然別の家が建ち、知らない人が

住んでいます。

でも私の心の中のこの部屋はいつまでも

壊れることなく存在する。

私が私の記憶を失う時まで。