ツララ
今年一番の冷え込みの朝。
お昼近くに山肌から水がしみ出している場所に
行ってみると案の定ツララが少し出来て
いました。
朝の冷え込みがウソのような穏やかな
陽だまり。頭上をトンビが2羽静かに
旋回していました。
耳を澄ませば、ツララの先からはポタポタと
雫が規則正しく落ちる音が聞こえます。
もうお昼だから戻らなければと理性はささやく
一方で、感性はこのままここにいたいと訴え
ます。
風もなく温かな場所で遠い記憶が脳裏に
浮かび上がってきそうなその時、遠くから
杖の鳴る音が近づいてきました。
あれー?と思って立ち止まっているとやっぱり
父の姿です。
ニヤニヤとしながら近づいて来る父。
近くの イチョウの木を見に来たと言います。
来るなら一緒に行くと言えばいいのに。
行くなら誘えばいいのに。
素直じゃないところがよく似た二人なので
した。