帰り道
日没の時刻、東の空には月が昇ってきました。
私の1日で一番落ち着くひと時は家への
帰り道です。毎日違う光景に出会います。
他の人には同じように見えても私には微妙に
違って見えます。
私はそれを楽しみにしています。
基本的に、私は、人と一緒に行動するのが
苦手なタイプです。例えそれが親であっても。
いいえ、過干渉な親だからこそかも。
自意識過剰と言われるかもしれませんが、
人と一緒にいるとすごく疲れてしまうのです。
バス停から家までの間はほとんどの場合
たった一人です。誰かを気にする必要は
ありません。実際の時間は5分くらいに
過ぎないと思いますが、好きなだけ周囲を
眺めてボーっとします。
一人暮らしの人ならこんな時間はありふれた
ものなのでしょう。残念ながら私はこの年に
なってもまだ一人暮らしをしたことがあり
ません。いつか一人暮らしをするのが私の
将来の夢です。簡素で温かく、そして風通しの
良い部屋で。
雑木林の木々はクモの巣のように枝を張り巡ら
せています。月はそのクモの巣に引っかかって
もがいているようにも見えました。
自分の今の気持ちが反映されているような
光景でした。