淡々と・・・

淡々と過ぎていく日々、心にとまったひとこまを写真と短文で綴っています。

カタツムリ

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近所を歩いていてフッと視線を横に逸らすと

木の葉の上に小さなカタツムリがいるのに

気がつきました。

よく見る丸い殻ではなく少し楕円形の殻を背負

ったタイプです。殻にはほとんど縞模様は見えず

よく見ると真珠のような光沢がありました。

タツムリを見ると思い出すのは新美南吉が書いた

「でんでんむしのかなしみ」というお話です。

新美南吉は、「手袋を買いに」や「ごん狐」で有名

ですね。どちらかは国語の教科書にも使われていた

記憶があります。でも「でんでんむしのかなしみ」

は、ずいぶん大人になってから知りました。

今ではどこの図書館でも読める作品ですが、短い

新美南吉の生涯を想うと彼の書いた作品にこそ

「かなしみ」が詰まっていることに気づきます。

一粒の真珠のようなカタツムリは、自分が美しい殻

を背負っていることに気づいていないでしょう。

誰もが背負っている「かなしみ」は、このように

美しいのかもしれないと思いながらかたつむりを

見送りました。