イタチ(幼獣)
少しずつ春が近づいているのを実感出来るよう
になってきた日、母と散歩に出かけました。
いつもとは逆回りに散歩コースを辿ると田んぼ
の用水路に小さなフサフサした毛の生き物がい
るのを見つけました。
少しずつ距離が縮まっていくのにその生き物は
逃げようとしません。 とうとう2mくらいま
で近づくと急に踵をを返して水路の下の空間に
入り込んでいきました。フワフワの尻尾を持つ
イタチの子供だったのではないか、と推測して
います。
イタチは、昨年の夏、もう少し山の方で出会っ
たことがありましたが、その時は成獣でした。
今回出会ったのは見るからに小さい子供のイタ
チで多分、人間を見たのが初めてだったのでは
ないか?という反応でした。まるで昔、教科書
に載っていた新美南吉の「手ぶくろを買いに」
の子ぎつねのよう。人間を知らないために私と
母を不思議そうに見つめてしばらく動きません
でした。
イタチは冬眠しない生き物だそうです。でも、
冬の間、田んぼは、生き物の気配が全く感じ
られませんした。厳しい冬を乗り越えた小さな
命が春を告げてくれた午後でした。