シュンラン(花)
シュンランが咲き出すのは決まって少し湿度が
高く感じられる日です。
このところ寒の戻りで気温の低い日が続いてい
ましたが、一度咲き出した花は寒くても頑張っ
て咲き続けています。
半透明の緑色の花は、他にはない魅力を持って
います。多くの花が目立つことによって昆虫や
鳥を呼び寄せるのにこの花はそんなことに全く
関心がないように独自の進化を遂げています。
ラン科の植物は一般的には、熱帯地域のものが
高級園芸植物として流通していますが、シュン
ランは稀に希少な品種もありますが、元は山野
で自然に進化してきた植物です。ホコリのよう
に微細なタネは、周囲の菌類の助けを得て栄養
素を吸収し、最初バルブという球根に似た根茎
となり、何年もしてから葉を展開します。これ
は、寒さに適応するため獲得した繁殖方法との
こと。
シュンランの咲いている場所は、落ち葉がフカ
フカに積もった雑木林の斜面です。多くの山野
草がそうであるように、生暖かい風が吹く日に
冬の寒さから守ってくれた落ち葉の毛布の下か
ら頭をもたげるように姿を現わします。
野生の山野草は、花が咲くまでに10年近くの歳
月をかけています。電気信号の伝達で何事も瞬
時に出来るようになった日々に生きている私に
は、だからこそ魅力的に映るのです。