春眠
明け方目を覚まして外を見ると月が煌々と
輝いていました。
満月はとうに過ぎたのに目の前の月があまり
に明るいので満月かと思うほどです。
夜の間は雨が降っていて、まだ地面は乾いて
おらず、雨はついさっきまで降っていた様子。
そろそろ夜が明ける気配が漂う空は、青味を
帯びて静まり返っています。窓を開けると流
れ込んでくる空気はそれほど冷たくなく、季
節がまた一歩進んだのだと実感しました。
西の方に連なる高い山々の雪は溶けただろう
か?そんなことをつらつら考えながらまた寝
床に潜り込みます。
雪の上を吹き抜けて山から駆け下りて来る風
は、日差しが日に日に強くなっても一向に温
もらず、上着が手放せない日々でした。
雪も雨も水分という点では同じなのに、雨が
降らなければ山の雪を溶かすことは出来ない
不思議。
太陽のように輝く月を見て、夜の間に春が、
山から下りてきているのだ、とぼんやり思い
ながら、もう少しだけまどろんだ朝でした。