ヒメコウゾ(実)
今の時期、雑木林では赤いキイチゴのような
実をよく目にします。
ちょっと前まではヤマグワの実をたくさん見
た同じような場所ですが、ヤマグワが熟すと
黒くなるのと違い、この実は朱色ぽい赤色で
す。モミジイチゴの実によく似ているので、
ここへ来たばかりの頃は、キイチゴの一種だ
と思っていましたが、この実は、ヒメコウゾ
の実です。
ヒメコウゾは、春、サクラが終わった頃、花
を咲かせますが、その花は大変地味です。雌
花と雄花とも球状の花ですが、花ではなく実
かな?と思うような形態をしています。
花が咲いて3ヵ月ほど経つと赤い美しい実が
雑木林で目立つようになります。食べられる
と聞いたので試食してみるとちょっとヌルヌ
ルした食感で甘い味でした。ただ多くの人の
意見では桑の実の方が圧倒的に美味しいとい
うことです。
ヒメコウゾは、和紙の原料になっているコウ
ゾの片親だそうです。カジノキとヒメコウゾ
の子供がコウゾとのこと。両者をかけ合わせ
て更に上質の紙を作ることを目指したのでし
ょうか?
同じ和紙の原料になるミツマタは、花が可愛
いらしいので庭木にもなっていますが、ヒメ
コウゾは雑木林で赤い実を光らせて地道に鳥
たちの命を支えているのです。