ヤクシソウ(実)
11月に最後の花を咲かせていたヤクシソウの
前を通りかかると花は全て終わって種になっ
ていました。
種の先はタンポポのような綿毛がついていま
すが、タンポポのように大きく広がってはい
ません。この調子では種はそれほど遠くには
飛んで行けそうにありません。もう何度か霜
がおりましたが、そのうち雪が降れば枯れて
土に還ってしまうことでしょう。その後には
これらの種が母株のあった場所にまた芽を出
すのです。まるで代々土地を継承していくよ
うに、また来年も人間が環境を破壊しない限
り同じ場所で命をつないでいきます。
ヤクシソウの周囲の木々はほとんど落葉して
すっかり寂しい風景となりました。夏の間あ
んなに茂っていた草も今はほとんど枯れてし
まいました。落ち葉に埋もれたヤクシソウも
あとわずかの命。種という子供たちは、長い
長い眠りについて来春暖かくなるまで土の中
でゆっくり休みます。
種が目覚めるためには、一度低温期間を経験
する必要があります。冬は、春が来るために
必要不可欠なものなのです。