レンズ雲
夕方、ふっと空を見上げるとレンズ雲が浮か
んでいました。
レンズ雲は、観天望気では悪天候の前兆とい
われています。自然の現象や生物の行動の様
子などから天気の変化を予測することを観天
望気と呼びますが、レンズ雲もその中の1つ
です。
レンズ雲は、主に山の周辺で見られる雲で山
頂付近を湿った空気が昇る際に断熱冷却され
て出来る雲です。傘雲または、笠雲などとも
呼ばれます。
私の住む場所は、せいぜい標高100m前後の
低い山ですが、それでも下の地域に比べると
天気は微妙に異なります。常に風が吹き、天
候も悪い方へ傾く傾向が強い場所です。朝起
きた時に晴れていても朝食を食べている間に
ミルミル黒い雲が広がってきて雨になること
もしばしばあります。広い平野にある街で長
く育った私は、冬は一日中晴れている感覚が
身についてしまっているので目まぐるしく天
候の変わるここの環境に未だに馴染むことが
出来ません。
夕焼けに下から照らされたレンズ雲は、見て
いるだけなら美しい雲です。窓の外に大きく
横たわる姿は、大きな空母のようにも見えま
す。ゆっくりと過ぎて行く雲を見ながらしっ
かりと戸締りをしたのでした。