ドングリ(実)
冬の雑木林を歩くと地面には無数のドングリ
が、転がっています。
ほとんど木々は葉を落とし、無数の落ち葉と
小枝と共にドングリはむき出しのまま横たわ
っているのです。これだけたくさんのドング
リを実らせた親木はすでに眠りにつき、あと
はお前たちは好きにしなさい、というように
静まりかえっているだけです。
木の一生を観察していると時々羨ましく感じ
ることがあります。親木は子孫を残すことに
一生懸命ですが、種が出来たらそれ以降は素
っ気ないほど子供たちを手放しているように
見えるからです。風や虫や鳥に運ばれて自由
に生きればよい、と干渉はしません。植物に
は感情というものがないのだから当然ですが
私は、時々それが強烈に羨ましく感じるので
す。
我が家の両親が過干渉なのは生まれた時から
なのでもう馴れっこだろう、と他人は言いま
す。でも、そんなことはないのです。心の底
では毎日ほっといて欲しいとウンザリしてい
るのです。子育ては終わったのだからもっと
他の物事に目を向けて自分の人生をそれぞれ
愉しんで欲しいと思っています。子供を持た
ない私の我儘なのかもしれませんが、そう思
ってしまうのです。