カキ(木守り)
久しぶりに、山の下の農家の集落を歩いてみ
ました。
庭先のカキの木には木守りというには随分た
くさんのカキの実が残されていましたが、今
では大半は鳥たちにつつかれてヘタばかりが
残っています。
高齢の方は子供の頃、甘いものが貴重品だっ
たせいか、カキを好んで食べるようですが、
現代の子供たちはあまり好まないようでカキ
の実も最近余り気味のようです。今期は豊作
だったのか、実が木になったままの光景をよ
く目にします。
木守りというのは、カキやユズ、ミカンなど
の果実を1個から数個、木に残して置く習わ
しのことです。今年の実りに対する感謝と来
年の豊作を願う想いや他の生き物と自然から
の恵みを分かち合おうとする先人たちの想い
が込められた風習です。
今では贅沢なことに食べる子供も減って残そ
うとしなくても食べ切れないカキの実は、長
い間寒風にさらされて天然の干し柿になりつ
つあります。
スッキリと晴れた空をバックにシワシワにな
ったオレンジ色の実は、幸せや豊かさについ
て私に答えを問いかけているようでした。