寒ざらし
夏の田んぼが緑一面だったのがウソのように
冬の田んぼは茫々と風に吹かれて寂しい。
稲刈りが終わり、一旦は切り株からまた芽生
えた緑の芽も霜が降りたあとは茶色くなって
立ち枯れていました。
雪が積もってからその茶色の草は紫外線と雪
によって日に日に白くなっていきます。太陽
の熱によって雪が溶ける時にオゾンが発生し
て殺菌、漂白されるためだそうです。
昔の人は自然界の様子をよく観察していてこ
の作用を生活に利用していました。布を漂白
するために反物を田んぼに干したり、蕎麦や
米をさらして白くして見栄えや味を良くした
り。
寒さに痛めつけられるだけでなく、寒さを逆
に味方につけてやろうとするナニクソ根性を
見るようです。
今よりずっと厳しい寒さの中で暮らしていく
ことは、命を削る毎日だったと思います。
真夏の甘味がなおさら美味に感じられたのだ
ろうな思います。
真夏に真冬を想い、真冬に真夏へ想いを馳せ
るそんな暮らしが本当の人の生き方なのかも
しれません。