今日の空103
冬から春にかけて一夜にして周囲の景色が、
雪化粧していることはこの辺りでは珍しいこ
とではありません。
寒さが一番厳しい頃は、晴天でも日中も景色
は白いままでしたが、最近は徐々に雪が消え
る時間が速くなっています。
少しずつ太陽の高度が上がり、日照時間も伸
びて春が近づいている気配です。
一向に変化のなかった戸外の球根たちの芽が
見え始めるのもこんな頃です。チューリップ
愛い芽を黒い土の上に点々と現わします。ど
うして彼らは春が近づいたことを知るのでし
ょうか?
夜の間に降った雪は、日中、水と肥料となっ
て土に吸収され、彼らの栄養となります。土
は太陽の熱で温められ、たちまち乾きます。
高い山の雪が消えない限り、風はまだまだ冷
たいままで空気はなかなか温まりません。で
も、土は空気より先に太陽の熱を着々と貯め
込み始めています。温まった地中にいる植物
たちの根は、そのためいち早く目覚めるので
す。
人間よりも彼らが早く春を知るのは、大地に
しっかり根差しているからなのだ、と気づか
されるのです。