ソメイヨシノ(幹)
我が家のある住宅街に登って来る道は、途中
で二股に分かれています。
いつもは道なりに自分の家のある方へ進みま
すが、たまにもう一方の道を進んで散歩をす
ることがあります。道の先は、我が家より後
に開発された住宅街になっており洒落た家が
たくさん建っています。
歩道はソメイヨシノの並木になっており、も
ちろん花はまだまだですが、樹皮が美しい木
が何本もあります。緩やかにカーブした道沿
いにならんだ幹は、午後の日差しを受けて赤
銅色に光って見えます。
サクラの樹皮は、樺細工と呼ばれる伝統工芸
品に使われます。我が家にも茶筒があります
が、ヤマザクラの樹皮を原料とした他には類
を見ない美しい品です。江戸時代中頃から始
まったこの工芸品がどんなキッカケで生まれ
たのか分かりせんが、きっと遠い昔の誰かも
サクラの幹が美しいと思ったのでしょう。
ソメイヨシノは、江戸時代に生まれた新しい
品種のサクラです。日本のほとんどの地域の
桜前線の標準木として皆さんお馴染みのサク
ラです。ほとんどの人は、圧倒的な花の美し
さに目を奪われて幹を見ることはないけれど
改めて樹皮も美しいのだ、と知った午後でし
た。
