カエデ(芽吹き)
秋に見事な紅葉を見せてくれるカエデの並木
道は、ついこの間まで裸木の並ぶ明るい道で
した。
ところが、暖かくなると雨が降る度に木々の
先が赤味を帯び、たちまち小さなカエデの葉
が開き始めました。
カエデの葉は、散る直前も赤色ですが芽吹い
た直後も赤い色をしています。小さくチリチ
リに縮んだ葉は、日に日に大きく広がりそれ
につれて赤味が薄れて最後は緑色の葉になり
ます。生まれた直後と命を閉じる直前に赤と
いう色に染まるのは、何か因縁めいたところ
があるような気がします。
日本では、赤は古くから魔除けの意味を持つ
色です。現在のように医療が発達していなか
った時代、たとえ迷信といわれても弱い立場
の幼子や老人に赤い物をまとわせていたのは
赤の持つエネルギーで悪いものを追い払い、
守りたいという願いが込められていたのでし
ょう。
人々がサクラの美しさに目を奪われている今
カエデは、すでに錦秋への準備を初めていま
す。私達も新たな変異ウィルスや隣国の脅威
に対し、考えることを忘れてはならないとカ
エデから教えられています。