タニウツギ(花)
初夏の頃は山では白い花を咲かせる木々がほ
とんどになりますが、タニウツギは優しいピ
ンク色のため少し目立っています。
このタニウツギは、隣りの住宅街へ行く途中
のコンクリートの法面のすき間から生えてい
ます。いつからここにあるのかわかりません
が、足元は硬いコンクリートに覆われている
にもかかわらず毎年たくさんの花をつけてい
ます。
タニウツギは、田植えの頃に咲くためかタウ
エバナとも呼ばれます。今では、この辺りは
ゴールデンウィーク頃に機械で田植えを済ま
せてしまいますが、昔は気温も水温も上がっ
てくる初夏の頃が田植えの時期だった名残で
す。
隣りの住宅街はまだ売り出し中の造成地が残
っており、建築中の新しい家がポツリ、ポツ
リと増えていきます。段々と空き地がなくな
り今風の素敵な家が出来上がっていくのを見
るのは楽しい反面、空き地の植物が消えてい
くのは寂しい気もします。
積雪が多い地方の斜面にしっかりと根を張っ
て雪崩が起きても流されない性質が、コンク
リートの法面に変わっても未だに生きている
タニウツギ。たおやかな色に似合わずしぶと
く生きている姿にいつも感心するのです。