ヤマグワ(実)
今年もヤマグワが実る季節が来ました。
もう誰もこの実を採って食べる人はいないた
め、あきれるほどたくさんなった実は鳥が食
べる以外道一面に落ちているだけです。この
辺りにどれくらいの鳥が生息しているのかわ
かりませんが、食べきれないほどたくさんな
っていると思います。木の数とそれぞれの木
についている実の数を見ると怖ろしいほどた
くさんの数です。
クワの実はイチゴと同じように小さな粒1つ
1つが種を持った果実です。そうなるとこの
写真に収まっている実の種だけでも相当な数
となるでしょう。それが山の至る所に生えて
いるのですから倍々ゲームでヤマグワの木は
増えていきます。
かつては、ヤマグワも養蚕に使われていたそ
うです。日本の絹は上質で世界中から引く手
あまただったそうですが、今は衰える一方な
ためクワの木自体が必要とされていない残念
な状態です。
最盛期、雑木林沿いの道には、車に踏みつぶ
されたヤマグワの黒い実の跡が点々とつきま
す。避けて通ることが困難なほど熟した実が
落ちるのです。黒いシミがついた道は、何か
大事なものを打ち捨てているような重苦しい
気分を私に突きつけてきます。