ムラサキシキブ(花)
本来ならムラサキシキブの花は、梅雨明け頃
から咲き始めます。ところが、今年は梅雨明
け早かったため順序が逆にになり今、追いか
けるように咲き始めています。
淡い紫色の小花の塊がたくさんついた木は少
し日陰の雑木林の縁でよく見られ、思いのほ
か強く香ります。
ムラサキシキブは、日本の雑木林では一般的
に見られる低木です。幹はそれほど太くなら
ず、細い枝が多く伸びた先にたくさんの花を
つけます。どちらかというと地味で目立たな
い花は、秋につく紫色の実よりも知られてい
ないかもしれません。
この花の存在を一番よく知っているのは、人
間よりハチの仲間たちです。朝、まだ太陽が
山の向こうから顔を出す前から紫色の小花の
周りでは、ハチの羽音が聞こえます。花の香
りがハチたちを引き寄せるようで木に近づく
とあちらこちらを飛び交っているのが見えま
す。こんなに小さな花にも蜜があるようで、
せっせと仕事に励んでいるハチたち。この暑
い時期に気の遠くなるような細かい仕事を黙
々とこなしています。
秋に美しい紫色の実を楽しめるのは、ハチた
ちのお蔭だったのだ、と気づかされる真夏の
雑木林の風景です。