アサザ(花)
薄暗い雑木林の端にある池の周囲は、真夏に
なってもヒンヤリとしています。
ここに黄色いアサザの花が咲くとこの辺りも
夏本番です。
真冬には全面凍りついているこの小さな池は
真夏になると一面アサザの葉に覆われます。
6畳間ほどの小さな池ですが、ほぼ円形の葉
は一ヶ所だけ切れ込みが入っており、水面に
浮くようになっています。
アサザは耐寒性が強いため冬に姿を消したよ
うに見えても春になると再び芽吹きます。各
地で絶滅が危惧されている植物のようですが
なぜこの池に生存しているのかはわかりませ
ん。特に誰かが世話している様子もなく、池
の水も山から流れ込むままになっていてとて
もきれいとは言い難い状態です。それでも毎
年花を咲かせています。
池の水面は、道路より1mほど低いため思い
切り手を伸ばしてもアサザの花には届きませ
ん。一度身近で観察したいと思っているので
すが、なかなか道路の近くに花が咲かず、キ
ュウリの花に似ていると思いながら毎年眺め
るばかりです。
アサザの花は、午前中に咲いて午後にはしぼ
んでしまう半日花です。儚い命は、この辺り
の短い夏を象徴しているかのようです。