ミツマタ(蕾)
季節は急速に時間を早め、周囲の木々が色を
失っていく中ミツマタの木はまだ青々とした
葉と蕾を残しています。
冬が来ればミツマタも蕾だけを残して葉を落
としてしまうのですが、今は周囲の景色とは
不似合いなほど緑色をしています。
早春のまだ冷たい空気の中で咲き始めるミツ
マタの花芽は、細かい産毛に覆われてこれか
ら来る寒さに備えています。寒さが本格的に
なる前に花の準備は完全に終了して眠りに就
くのです。
ミツマタは、枝が必ず3つに分かれてその枝
先に花をつけることから名付けられました。
春まだ寒いうちから咲き始めるため、この花
を吉兆の印として尊ぶ習わしも古くからあり
ました。三枝と書いてサエグサと読む苗字が
ありますが、これも元はミツマタを指し、幸
先良い草(本当は木ですが)=幸草(サキク
サ)が転じて生まれた呼び名であると言われ
ています。
和紙の原料としても有名なミツマタは、明治
時代になって紙のお金が一般的になるとその
大半を担うようになりました。
紙のお金の存在が薄れていく今、ミツマタの
花はただの可愛い花としてしか見られなくな
っていくのでしょうか。