コムラサキシキブ(実)
コムラサキシキブは、雑木林に自生するムラ
サキシキブを品種改良して作った園芸品種で
す。
ところが、今ではコムラサキシキブのことを
ムラサキシキブと呼ぶようになっている場面
にしばしば遭遇します。
の高さがグッとコンパクトにもかかわらず、
枝の節々にたくさんの紫色の実をつけます。
多くの木が赤や茶色の実をつける中で紫色の
実をつける木は大変珍しく、なんとか庭木で
この美しい実を楽しみたい、と昔の園芸家が
苦労して今の形に作り替えていったのでしょ
う。
現代のようにバイオ技術のなかった時代、植
物の品種改良は大変長い時間を必要としたこ
とでしょう。今年の結果が思わしくなかった
場合、また次の年までチャンスは巡ってこな
いのですから。
晩秋の庭で美しく光る紫色の実は、名前も残
っていない園芸家たちの長い努力と時間の賜
物です。
私たちは植物に限らず、多くの先人たちの恩
恵に浴して豊かな時間を過ごすことが出来て
います。このことをいつも心の片隅に置いて
過ごしたいものだ、と紫色の実を見ながら思
っています。