イソギク(花)
山々はほぼ茶色くなり、雲は分厚い灰色を帯
びています。
時折り弱い日差しは射しますが、空気は重た
くひんやりとしています。木々の紅葉も盛り
を過ぎ、咲いている花もほとんどない中、イ
ソギクの黄色い花だけが目立ちます。
イソギクは、名前の通り元々は海岸に自生す
る海浜植物の1種です。直射日光や乾燥にも
強く、病害虫もほとんどつかないため庭植え
でも重宝され園芸植物として最近は人気があ
ります。葉の裏には細かい産毛が生え、それ
が表側の端にまで回り込んでいるため上から
見ると葉の縁が白くなっているように見える
のが特徴です。
また、普通キク科の植物は花の周囲に舌状花
と呼ばれるヒラヒラした花びらがつきますが
イソギクにはそれがありません。ただ、一般
的な園芸品種のキクと簡単に交雑し易いため
黄色い中心部の周りに短い花弁をもつ花も時
々見かけます。それらはハナイソギクまたは
イエギクと呼ばれています。
ラジオを聞いていたら「今日の誕生日の花は
イソギクです」というアナウンスが流れ「あ
あ、やっぱり今どきの花なのだな」と思いま
した。
イソギクの花の明るさは、薄暗い初冬の風景
の救いです。