雑木林7
家の周囲の木々は、色づき始めたと思ったら
あっという間に赤茶色の風景に変わってしま
いました。
雑木林の奥の方へ入って行けばまだ赤い葉を
つけたモミジの木を見つけることは出来ます
が、離れて見る風景は穏やかな茶色に埋め尽
くされています。木の枝からは次から次へと
葉が落ち続け、風がなくても絶えず降るよう
に葉が落ちます。
母は、この茶色の山々の様子を見てモディリ
アーニのセーターになったと言います。昔、
あるアパレルメーカーが、画家のアメデオ・
モディリアーニの絵画の色にヒントを得て作
っていたセーターの色がこんな感じの色でそ
のことを指して毎年晩秋になるとこう言うの
です。男物だったそのセーターは、私が着潰
して今はもうありませんが、茶色のパッチワ
ークのように編まれた模様が本当に周囲の山
々の色のようでした。
空気がドンドン冷たくなり、空は益々青さを
増しています。私たちが勝手にモディリアー
ニの色と呼んでいる色はあっという間に消え
去り、凍りつく空と静まり返った山々に変わ
ってしまいます。
日に日に弱っていく日差しは、老親たちの様
子と重なって心に暗い影を落としてくるので
す。