ついこの間までたくさんの黄葉をまとってい
たツクバネの木も、冷たい雨に打たれてすっ
かり葉を落としました。
ツクバネは、春から秋までは枝にたくさんの
葉を茂らせているので緑色の若い実はほとん
ど目立ちません。花が咲いた後、夏にはすっ
かり羽子板遊びのツクバネにそっくりの姿で
枝にぶら下がって準備万端といった感じにも
かかわらず。
雨上がり、ツクバネの木を見に行くと夏の間
は葉をかき分けるようにして実を確認してい
たのがウソのように今では実だけが枝に残っ
て揺れていました。今年は実のつきが良いよ
うでたくさんの実がモビールのように枝のあ
ちこちに賑やかに下がっています。
ツクバネは、針葉樹に半寄生する落葉低木で
す。そのため周囲にはスギ、モミなどがたく
さん茂っています。薄暗く湿った北斜面で目
立たず生きていますが、この不思議な形の実
はユニークで興味をそそられます。
根を針葉樹にからませて少し栄養を分けても
らいながらも自分自身も光合成を行うという
生態は、人工的に栽培することを難しくして
いますが、だからこそ季節ごとにのぞいてみ
たくなるのです。