ヤツデ(花)
日陰を好むヤツデの花も集まって咲けば結構
賑やかに見えます。
球形の小花の集合体は雄しべが長く繊細なた
め、ちょっと細工物のようにも見えますがこ
れはれっきとした生きている花です。
多くの人は花といえばフラワーショップで売
られている色とりどりの花を思い浮かべるで
しょうが、お店で売られている花はそのほん
の一部に過ぎません。ヤツデの花が生花とし
て売られているのを見たことがある人は、多
分いないでしょう。
ヤツデは、元々海岸近くの山の中に自生する
常緑低木です。葉には艶があり、日陰でも丈
夫に育つため裏庭やトイレの側に植えられる
ことの多い樹木です。
不名誉な地位に甘んじているヤツデですが、
晩秋から冬にかけての花がほとんど見られ
ない時期、ミツバチやハエ、ハナアブなど
の命を黙って支え、それと引き換えに受粉
を助けてもらっています。
冬になると生きているものなどいない錯覚に
陥りますが、手堅い生き方を選んだ生き物は
意外と冬の時期を上手に利用しています。
競争相手の少ない時期こそ人気者になれるチ
ャンスと思ったのかは定かではありませんが
ヤツデはあえて他と別の道を選んだのです。