淡々と・・・

淡々と過ぎていく日々、心にとまったひとこまを写真と短文で綴っています。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

保護

寒さに焼けてしまった葉。 守られた花芽がグングン伸びる。 桜色の花びらは細くうつむく。 ショウジョウバカマという名の小さき花。

荒野

まだ荒れたままの田んぼ。 チラチラと白いものが揺れている。 よく見るとイチゲの花々。 早春に一瞬だけ見られる白昼夢。

フキノトウ(花)

人間の手にかからずに無事開花。 何もかも丸々とした愛らしさ。 薄緑色の妖精たち。 生き残り作戦は続行中。

生死

モミジの新芽。 生まれたての葉も赤い。 子供から大人そしてまた子供。 人も最後は子供に還る。

ムスカリ

葡萄の房を逆さにしたような形。 空を目指して並んで伸びる。 愛らしく花壇を彩る。 本当はとってもたくましい。

過去

大きなハクモクレンの木。 無数の白い鳥のよう。 羽根を休めているようだった。 今はもうなくなってしまった木。

スピード

綿菓子のような雲。 ドンドン流れる。 柔らかそうに見えて手ごわい。 飛行船のように行ってしまった。

格差

早咲きの桜一輪。 まだ冷たい風に吹かれている。 日本の中心では花見の宴が話題。 遠い北国では風花が舞う。

夜空

雲間からおぼろ月。 ここには街の灯も届かない。 シリウスともそろそろお別れ。 星空を辿って慰められた日々。

レモンイエロー

450km南から。 一緒に引っ越してきた。 この地に馴染むか余計なお世話。 私なんかより立派に越冬完了。

外来種

コンクリート壁のすき間。 知恵か奇跡か偶然か。 帰化植物という差別さえ。 はね飛ばす強さが羨ましい。

類似

薄紅色の花弁は造り物のよう。 次々と開く姉妹花。 妖艶さを競い生き残りを図る。 追い上げてくる桜たちに負けぬよう。

荒廃

梅林を吹き渡る風。 甘酸っぱく香る。 荒れ果てた姿は持ち主の心。 省みられずとも花は黙って咲く。

営み

芽吹く直前の雑木林。 わずかな時を活用して赤く染まる。 クリスマスはとっくに終わったけど。 森の中はクリスマスカラー。

優美

恥ずかしがり屋の蕾たち。 大きな葉っぱをそ~っとめくる。 優しい人がそうであるように。 可憐な花は自己主張が苦手。

歓迎

リハビリのように一歩一歩。 花が開いていく。 握りこぶしのような蕾だった。 おはよう、ヒヤシンス!

馬酔木

馬酔木とかいて(あせび)と読む。 遠い学校の漢字テスト。 鈴なりの花はかわいい。 生き残るには毒も必要・・・。

焦点

這いつくばって眺めてみた。 光に向かって懸命に伸びる。 小さな命でも価値は同じ。 這いつくばっても生きている。

椿

小鳥たちが集う。 森の中のレストラン。 ときには喧嘩、ときにはお喋り。 木へんに春は今日もにぎやか。

南半球

若い友人からの便り。 向こうは秋の始まり。 帆船の絵葉書は未来の暗示。 漕ぎ出す世界は前途洋々。

味覚

トウが立つことが喜ばれるなんて。 蕗の薹ぐらいなもの。 萌黄色の花芽は誰かの口の中。 ほろ苦い味は人生そのもの。

幻惑

空を見上げたら。 数字の3が浮かんでた。 アルファベットのMかな。 しばらくしたらただの青空。

夜の間に溜まった涙。 夜明けの光を集めて輝く。 枕を濡らした想いはやがて。 気体となって空に還る。

優柔不断

冬が行ったり来たりする。 まだまだ咲くのは早いねと。 毬のような蕾たち。 ポーンと弾けて飛んでいけ!

ベイブリッジ

海に架かった大きな橋。 北風に吹かれ立っていた。 遠い過去の空の下。 自由が羽ばたいていくのが見えた。

放物線

晴れない気持ちを投げたなら。 行き着く先はどこだろう。 虹のように弧を描く。 向こう岸には何がある?

合図

ラッパ水仙のラッパだけ。 今年もやって来ましたと。 ファンファーレも高々と。 背を押すような季節の開幕。

ノスタルジー

遠くに置き去りにして来たもの。 今はもう見ることもかなわない。 失ったからこそ。 忙しない日々の隙間に浮かび上がる。

望郷

春には花を。 夏には実を。 健やかなる時も。 病める時も。

ミモザ

地中海の風の記憶。 陽光をまとってキラキラと立つ姿。 シャンパンの泡が弾けるように。 心を浮き立たせる春色。