淡々と・・・

淡々と過ぎていく日々、心にとまったひとこまを写真と短文で綴っています。

ヒナゲシ(花)

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ヒナゲシは大きな花がつくわりには茎が細く

華奢な印象を受けます。

花びらは紙で出来ているように薄く、角度に

よっては向こう側が透けて見えるほどです。

花屋さんではポピーと呼ばれ、早春の店頭で

よく見かけますが、この辺りの露地で咲く

のは気温が上がってくる今ごろです。

ポピーは、お手頃価格で手に入ることもあり、

昔は、切り花でよく購入していました。花束の

場合、7本組で、2本は咲いている花、後の

5本は毛むくじゃらの殻に覆われた蕾といった

感じの組み合わせで売られていることが多いの

ですが、蕾の5本も必ず開いて咲くのでハズレ

のない花です。クネクネと曲がった茎を自由に

遊ばせて暖かな部屋に活けておくといつの間に

やら蕾の殻が弾けて咲いている様子は、現代

アートの作品のようにも見えます。

与謝野晶子が詠んだ短歌にフランス語でヒナ

ゲシのことを意味するコクリコという言葉を

使ったものがあります。

ヒナゲシを見ると音の響きと情景を短歌に

上手に取り入れた傑作だなぁといつも思い出す

歌です。

 

ああ皐月(さつき)仏蘭西(フランス)の野は
火の色す 君も雛罌粟(こくりこ)
われも雛罌粟(こくりこ)  ~与謝野晶子