コマツナギ(花)
コマツナギの花を初めて観たのは以前住んで
いた家の近所の庭でした。
そこにお住まいの方は、学校の理科の先生で
植物に詳しく、庭に珍しい植物を色々植えて
いました。
毎年、梅雨時になるとハギの花にそっくりで
少し小型の花がフェンスから零れるように咲く
ことに気が付き、何の花だろうと思っていたら
コマツナギの花とのこと。
野に咲く花は、ひっそりと咲いているようで
意外と丈夫なものが多く、本当は人がちょっと
摘んで帰ったくらいでは絶滅したりはしないの
です。地中に伸ばした根は、地上に見えている
何十倍も長く深いのですから。
コマツナギもちょっとやそっと引っ張ったくら
いでは抜けません。強力な重機で根こそぎ掘り
起こさない限り、人間は太刀打ち出来ないの
です。
理科の先生は、その後亡くなり、その家は売り
に出されました。大きな重機が家も庭も根こそ
ぎ壊して更地になり、跡地に庭のない2軒の家
がすき間なく建ちました。
色々な植物の名前を教えてくれたあの庭。
一度壊された庭は、どんなに手を尽くしても
二度とよみがえることはないのです。