キク(花)
庭には母が気の向くままに植えたキクの花が
何種類もあります。
茶色に近いオレンジ色の花から黄色、ピンク色
紫色、白色などなど。
また、花びらの形も細いものから太くて丸に
近いものまで様々です。
毎年、この時期は庭はキクの花で一杯になるの
ですが、今年は花付きが悪く寂しい庭になって
います。春の雨が少なかったのが影響している
のか、夏が暑すぎたのか原因はわかりません。
特別な手入れをしているわけではなくいつも
花が盛りを過ぎる頃、母が苗の地際で全部切っ
て片付けているだけです。
ある年、いつものように母が、そろそろ終わり
だからといつものようにキクを切っていると
通りがかりのおばあさんが、「そのキクをもら
えないでしょうか?」と声をかけてきたそう
です。見慣れない人でしたが、処分するつもり
だったので「どうぞ、どうぞ」と手渡すと
「仏様に飾ってあげたいから」と言ったので慌
てて「それならもっと綺麗な花がこちらにあり
ますから」と言ったのに「いいの、いいの」と
立ち去ってしまったそうです。
母は時々思い出してはあの時もっと綺麗な花を
持たせてあげればよかった、と言っています。
私は、密かにその人は神様のお使いに違いない
と思っています。