ススキ(実)
道端の所々には、まだススキの穂が残っていて
風に吹かれています。
小さな種の集まりであるススキの穂は、今では
フワフワになってとても温かそうに見えます。
強い風が吹けばタンポポの種のように風に乗っ
て飛んで行ってしまいそうに見えるのですが、
細かい綿毛同士がからんで意外と飛んで行きま
せん。
夏から穂を出し始め、花を咲かせ、種を実らせ
たススキもそろそろ生涯を終えようとしていま
す。冬が終わる頃までには、気がつくと姿を消
しています。
かつては、ススキやヨシなどイネ科の植物は茅
葺き屋根の材料として利用されていました。
今はすっかり貴重な存在として保護される建築
となってしまいましたが、人里近くで豊富に取
れる材料を利用した先人の知恵の結晶でした。
新しいもの好きな日本人は、簡単に新建材の屋
根を取り入れてしまいましたが、日本の気候風
土に合った屋根は、自然素材の屋根だったの
です。
一度捨て去った技術や文化を再現するのは困難
です。工場で機械が大量生産する物とは違い、
人の手でコツコツと作られる物は、作った人が
命を削って作っているからです。だからこそ、
どこか温かみがあるのです。