ウメ(花梅)
日本列島の各地からサクラが満開の便りが聞
かれる頃、我が家の庭ではハナウメが満開に
近づいていました。
八重咲の花は、ぽってりとしてほんのり紅色
の小さなお餅を散りばめたようです。
この梅の木は、父が、将来たくさんのウメの
実がなることを期待して越して来たばかりの
頃、植えたものです。
ところが、花はきれいでも実はゴツゴツして
硬く、梅干しにしてみても美味しくならない
ことがわかってガッカリしたのです。
子供の頃からおやつに梅干しを食べていた、
というほど梅干しが大好きな父にとっては大
ショックだったようです。植木屋に騙された
などと悪態をついていますが、どこかで品種
のラベルの入違いがあったのかもしれません。
梅干しには向かないと判明した頃には、梅の木
はしっかりと根を張っており、今さら引き抜く
ことも出来ないので毎年、花を楽しむだけにな
っています。
暑い最中、梅干しを漬ける作業は、老いた母に
は重労働です。私も手伝っていますが、いつま
で続けられるかわかりません。何事にも執着が
激しい父ですが、母のことを思うとこれで良か
ったのでは?と内心、私は思っています。