氷穴2
私の住む辺りは、ため池の他に沼もあちこち
にあります。
池と沼の違いは厳密にはないそうですが、一
般的には池は人工的に作ったもので沼は自然
に水が溜まって出来たものをさすようです。
そう言われればそうかも。
沼のある所は、大抵山の陰になる場所です。
近くには小さな川が流れている場所も多く、
日当たりも良くありません。この時期、沼は
ほとんど凍っており、表面は青白い氷に覆わ
れています。晴れている日でも氷はほとんど
春まで溶けることはありません。
先日久しぶりに沼を見に行ってみると2ヶ所
ほど氷に穴が開いて亀裂が入っていました。
その形が何か邪悪な生き物の大きな目のよう
に見えて寒気がしました。
水面を見ていると時々、私はこの反対側に別
の世界があるような気がします。物語の読み
過ぎなのかもしれませんが、近づき過ぎると
穴から何かが出てきて引きずり込まれてしま
いそうな気がしてきます。
夏でも谷間の沼は、直射日光が当たることは
少なく冷え冷えとしています。まして冬は人
を寄せ付けない雰囲気で私を拒絶しているよ
うに感じます。それなのに怖いもの見たさで
たまに行ってみたくなるのです。