ヤブラン(花)
少し前から草むらのあちらこちらでヤブラン
の花を見かけるようになりました。
ひっそりと咲いている薄紫色の花は、ほとん
ど人に気づかれることなく草に埋もれていま
す。よく見れば花穂は、小さな花の集合体で
実のように見える丸い粒は蕾です。
園芸品種のヤブランは、葉にスジ模様が入っ
たいわゆる斑入り模様のものが多く庭などに
用いられていますが、山野で見るものは大抵
無地の緑一色のものです。本来はラン科では
ないのにランと名前につくのも葉がシュンラ
ンなどの東洋蘭の仲間とよく似ているためだ
そうです。
夏の間に茂った草むらは、ヤブランにとって
快適な生息地です。大抵は大きな木の下の程
々に日陰となった場所で薄紫色の花穂を簡単
に見つけることが出来ます。でもこんな風に
自生のヤブランがあることに気づいたのはこ
の土地に来てからです。そもそもヤブランに
野生のものがあるなんて知らず、全て園芸用
に作り出された品種だと私は思い込んでいた
のですから。
ヤブランの本来の姿を見ることが出来る期間
は、今の時期だけです。よそゆきでなく普段
着のヤブランは、ちょっと孤独を好む植物の
ようです。