シラヤマギク(花)
夏の終わりから見かけるようになる野菊の
仲間には様々な種類がありますが、それぞ
れが雑種を作っていることも多くなかなか
同定が難しいものです。同じ白いキクでも
大きさも色々、花の付き方も千差万別。
シラヤマギクは沖縄以外ならほぼ日本の全
域で見られるありふれた小ギクで、細い茎
のいくつも枝分かれした頂点に数輪ずつ花
をつける姿が楚々として美しい野草です。
シラヤマギクの別名は、ムコナです。同じ
ノギクの仲間であるヨメナと同様に春の柔
らかい芽は食べることが出来るそうですが
ヨメナに比べると大味なためムコナと呼ば
れるようになったそうです。しかし、春の
野原でヨメナもムコナも見分けるのは私の
目には難しいです。多くの草に混ざって花
が咲くまでは、ほとんど毎年気づかずに過
ごしているのが正直なところ。
雨の止み間を縫って散歩に出ると必ずどこ
かで出会うシラヤマギクは、いたって平凡
な花のためわざわざ見る人はいません。で
も、この花が日本中からなくなったらその
時はきっと秋の風景が一変してしまうでし
ょう。
普段は目立たずに存在するものこそ、無く
なってみて初めてその穴の大きさに気がつ
きます。シラヤマギクは、小さい花ですが
そんな花です。