クチナシ(花)
雨の止み間をぬうようにクチナシの花が咲き
ます。
甘い独特の香りは蒸し暑い空気とあいまって
まとわりつくように周囲に漂っています。
クチナシの花には八重咲きと一重咲きがあり
ます。私が、初めてクチナシの花を見たのは
八重咲きの方が先でした。自生種は、一重咲
きですが、香りの良さと花の美しさを買われ
て、園芸品種として改良されたのです。
八重咲きのクチナシは、バラの花を思わせる
ボリューム感と濃厚な香りで周囲を魅了しま
す。子供の頃の私は、その代償として植物と
して大切な実をつける機能を失っていること
を知りませんでした。
大人になって一重咲きのクチナシにしか実が
ならないと知って、なんとか実がなっている
木を見てみたいものだと思っていましたが、
当時は、華やかな八重咲きが流行っていたの
か、なかなか一重咲きを見る機会はありませ
んでした。
しばらくして、ようやく実のなっている木を
見つけることが出来ました。その実から種を
取って育て、花を咲かせ、更に実をならせる
ことが叶いました。
ずいぶん時間が、かかりました。でも、これ
が私の生き方に共通しているやり方なんだろ
うなぁ、と納得しているのです。