ナンテン(実)
鈍色の空の下て珊瑚玉のように光っているナ
ンテンの実は、冬の風景に唯一華やぎを添え
ています。
梅雨の時期、雨に濡れながら咲いていた花は
今、たくさんの実に変わりました。
ナンテンは、常緑低木のため冬でも葉が枯れ
ません。ただ私の住むような寒い地方では、
寒さで葉の縁が赤や茶色に色付いているのを
よく見かけます。一冬の間に幾枚かの葉は、
寒さの犠牲になって散っていくのです。
そうは言ってもナンテンは、大変丈夫な木で
す。放っておいても春先になると幾本もの枝
を脇から伸ばし、若い葉を盛んに茂らせて冬
に減ってしまった葉数はあっという間に挽回
されます。
かつて住んでいた家の庭では玄関横にナンテ
ンを植えていましたが、毎年切らないと玄関
が暗くなってしまうほどでした。ナンテンの
幹を切ると中は鮮やかな黄色だったのを憶え
ています。なぜ黄色いのかは調べてみたので
すが、未だにわかりません。
葉には、微量の毒があるのですが、これがか
えって食品の防腐に役立つということで高級
なお弁当などには本物の葉が添えられていた
りお赤飯の掛け紙にナンテンの絵が描かれて
いたりします。
今年も1年無事に過ごせるようにお正月の花
にナンテンの実を必ず添えるのは、私の密や
かなおまじないです。