ミツマタ(花)
年末にはすでに蕾の準備は出来ているようだ
ったミツマタですが、意外と花はなかなか開
いてきませんでした。
時々植えているお宅の垣根沿いから眺めてい
ましたが、蕾はほんの少し開いただけ。
マンサクの花も咲いたし、雨も時々降るよう
になったからもうそろそろ…と思ってもなか
なか丸い毬のような花球になりません。
植物は、人間より自分が咲くべき時期をわき
まえています。咲かないということは、まだ
咲くべき時期ではないということなのに私は
早く花が見たくて仕方ありません。早く咲き
過ぎて遅霜などにやられてしまっては、台無
しになってしまうとわかっていても。
今よりもっと温暖な地域に暮らしていた時の
春は、一旦暖かくなりだすと駆け足のように
やって来ました。毎日階段を一段ずつ登るよ
うな確実性というか、体感的にも視覚的にも
春の到来を日々実感して過ごしたものです。
北国の春はそれとは対照的です。一進一退、
常に用心しながら進みます。いいえ、停滞や
後退すらあります。
ミツマタの花が丸いポンポンのように揺れる
まで、暖かい所で培われた私の身体は、北国
の春をじれったく、もどかしく思い続けるの
です。