スズメウリ(実)
田んぼと雑木林の間には、鉄製の棒で組んだ
イノシシ除けの柵が長い距離張り巡らさせて
います。
夏の間は草が生い茂って柵もあまり見えないの
ですが、稲刈りが終わり、あぜ道の草刈りがさ
れて歩いて近くまで行けるようになりました。
柵には色々なツル性の植物がからまっており、
よく見ると小さなスズメウリの実がたくさん見
つかります。直径1.5㎝くらいの小さな実があ
ちこちについています。夏にレース状の花を咲
かせるカラスウリに比べてだいぶ小さいですが
可愛い翡翠のような実です。観察すると緑の実
は、熟すと段々白くなるようです。白い実を潰
してみると中には黒い平べったい種が10個く
らい入っています。蒔いてみようと種は持ち帰
りました。
スズメウリについて調べていると仲間にオキナ
ワスズメウリという植物があると知りました。
オキナワスズメウリの実は熟すと赤に白いシマ
模様が入るようです。最近人気の出ている植物
のようです。いつかあの強烈な日差しの下で沖
縄の植物をたくさん見てみたいなぁと思ってい
ます。(いつになることやら...)
カリン(実)
今年も近所のカリンが実りました。
過去の記事を確認すると昨年とほぼ同じ時期
です。
カリンの木は、枝を上へまっすぐ伸ばす性質
があるようで枝が横に広がらないため狭い場
所でもコンパクトに収まっています。
実が大きくなってくるとまっすぐだった枝は
重みで段々傾いてきます。上の方に咲いた花
の方が暖かく虫が受粉に来やすいのか実がつ
くのもたいてい高い場所の枝です。
花はピンク色で可愛いし、実はお酒やノドの
薬になるカリンは優等生の木だなぁと思いま
す。
昨年、カリン酒を作る時、実を割ると中心部
には種がたくさん詰まっていました。種は、
不規則な四角形でヌルヌルしています。以前
友人から種だけもらって育てた経験があった
ので、よく洗ってビニール袋に入れて冷蔵庫
に保存して置きました。すっかり忘れていた
のですが、春に気付いて見るとたくさんの種
から芽が出かかっていました。慌てて鉢に蒔
きましたが、夏を越して生き残ったのはたっ
た1本だけでした。
また熟して落ちて来ないかなぁと時々カリン
の木の下で期待して待っている私です。
ナギナタコウジュ(花)
田んぼのあぜ道でちょっと長めの歯ブラシの
ような花を見つけました。
気をつけて見ると草むらのあちこちに咲いて
います。初めて見る花で名前がわからなかった
ので家に帰ってから調べるとナギナタコウジュ
というシソ科の植物のようです。
歯ブラシのようになっている花を触ってみると
柔らかくてとても気持ち良い感触です。
母は、この花を子供の頃、ナギナタ草と呼んで
いたようですが、ナギナタ草という花は検索し
ても出てこなかったので正式名称ではなかった
のでしょう。どちらもナギナタという日本の古
武道の武具に花をみたてている点が、共通して
いるのは面白いなぁと思います。
名前は勇ましいナギナタコウジュですが、実物
は、30㎝くらいの高さの柔らかい草です。全
草を干したものは、漢方薬でコウジュと呼び、
利尿や発汗を促す作用があるとのことです。
植物について調べると、身近な場所に茂ってい
る草木が、昔は、薬草として活用されていたこ
とを知ります。先人たちがどうやって役に立つ
植物を知っていったのか、その物語に大変興味
が湧いてきます。
今日の空49
2,3日続いた晴天も終わりが見えてきま
した。
天気が下り坂になると共に心にモヤモヤ
した黒い気持ちが広がってきます。
先週末に、友人から格安スマホの良い点と
悪い点を教えて欲しいとメールが来ました。
私は、すぐに簡単にまとめた返事を出しま
した。友人からもお礼のメールが着ました。
でも、なんだかモヤモヤしているのです。
多分、格安スマホに乗り換えたいのだと思い
ます。なのにメールにはどこにも素直に自分
も格安スマホに乗り換えた!とは一言も書か
れていません。なぜ、単刀直入にそう言って
くれないのかなぁ...と私は引っかかってしまう
のです。
私は、単純な人間です。人の気持ちの裏を読
んだりするのは苦手です。そういうことを常
に気にしていると心が疲れてしまうからやり
たくないのです。でも、なんとなく感じてし
まう。信頼されていないかなぁ~。
私が7月にスマホを乗り換えた時、ネット上
の知らない人々にたくさん助られました。だ
から、まっすぐ乗り換えたいから教えて!と
言ってくれれば喜んで知っていることは提供
したいと思っています。
今こそPay it forwardという言葉を実行する時
だと思うから。
キノコ17
秋のキノコのシーズンがやって来ました。
かつては、キノコは秋だけのものかと思って
いましたが、今年の梅雨時、雑木林に続々と
出現するキノコたちを見てからは梅雨時も
結構キノコが出るのだと知りました。
このところ、ようやく秋の長雨が終わったよう
なので久しぶりに雑木林の中を歩くと行く先々
でキノコに出会いました。
まだ落葉樹もほとんどの紅葉しておらず、薄暗
い林の中は、湿っぽくヒンヤリしていますが、
キノコはこんな環境が大好きなのでしょう。立
ち枯れした木にはもれなくキクラゲのようなヒ
ダ状のキノコが木肌を覆っています。立ったま
ま枯れて倒れない木もすごいと思いますが、な
ぜ、この木が死んでしまっているとキノコたち
にわかるのかも不思議です。
キノコは、ご存じの通り、種ではなく胞子で繁
殖していきます。胞子は顕微鏡で見なければ見
えないミクロの世界の生き物です。私がキノコ
に魅かれるのは、この目に見えない点が神秘的
に感じるからなのかもしれません。
キノコの傘は胞子を飛ばすために開くのですが
役目を終えると真っ黒になって溶けて消滅して
しまい跡形もなくなってしまいます。
煙のように消えてしまう一生に、私は憧れてい
ます。
ノイバラ(実)
朝、冷え込んだ日は昼間はポカポカ陽気に
なります。
紅葉にはまだ早い雑木林ではノイバラの実が
赤く目立っています。もう少しするともっと
赤味を増しますが、その頃になると鳥にだいぶ
食べられてしまいます。鳥は命をつなぐため、
私は眺めて楽しむだけですからもちろん、鳥に
ゆずります。
ノイバラは、花屋さんで花材としても売られて
います。これからの時期、クリスマスの飾りと
して重宝するようで1枝700円くらいです。
私にとっては野山で見かけるありふれたもので
すが、街ではお金を出して手に入れるものなの
ですね。物の価値は、存在する場所で大きく変
わります。
バラの苗を栽培している農家では、ノイバラを
園芸品種のバラの台木にするために種から育て
ている所もあるようです。園芸品種のバラは、
病気や害虫に弱いので丈夫なノイバラを土台に
して上の方に接ぎ木しているのです。
鳥たちに食べられたノイバラの実はどこかで
来春、芽吹くことでしょう。赤い実は、絶え間
なく続く命の象徴のように見えました。
オオバクサフジ(花)
久しぶりに晴れて両親の体調もまあまあだった
ので3人で少し遠出の散歩に出ました。
8月に来た時は、まだ周囲の田んぼに稲穂が
揺れている風景でしたが、今はすっかり刈り取
りが終わって広い空の下、空っぽの田んぼが
清々しく広がる風景です。
6月頃は、点在する池からウシガエルの鳴き声
が聞こえてきたのですが、今はそれも聞こえま
せん。
父が、小学生の男の子のように杖を振り回して
あっちこっちの草むらを突いているのをあきれ
て見ていると、そのうち草に隠れていた溝に落
っこちて自力で立てなくなり、だから言わんこ
っちゃないと慌てて助け起こします。ケガがな
く、安心して池の側に寄るともういなくなった
と思ったウシガエルがドボン、ドボンと次々と
池に逃げ込んでいきます。
歩くには丁度良い天気でしたが、前半張り切り
過ぎた父は、帰り道はへばり気味で時々立ち止
まって待っていると草むらの中にマメ科の見慣
れない花を見つけて写真に撮りました。
家に帰って調べるとどうやらオオバクサフジと
いう植物のようです。日当たりの良い野原の端
で生き生きと咲いている花はもうすぐ来る厳し
い季節を一瞬忘れさせるような美しさでした。
ホトトギス(白花)
狭い裏庭に植えてある白いホトトギスが
ようやく咲きました。
この花は、だいぶ前、母が散歩の途中で山道で
見つけて取って来たそうです。雄しべの先が、
薄紫色になっていてちょっと珍しいものです。
普通のホトトギスは、花全体に紫色の斑点が
あるものが一般的ですが、野生で白い花はか
なり珍しいと思います。庭にはもう一種類、
園芸品種の白いホトトギスもありますが、葉が
枝垂れたところに花が並んで咲き、また趣が異
なります。
ホトトギスは、暑さが苦手です。そのため我が
家でも裏庭に植えています。涼しく少し湿り気
のある場所さえ守られれば、虫がつくことも、
病気になることもなく、丈夫で手のかからない
植物です。花後は、蛾や蜂が受粉してくれるお
蔭で種が実り、自然とこぼれ種で増えていき
ます。
太陽が燦々と当たることを好むものばかりでは
なく、ひっそりと日陰で静かに咲いていること
を好むものもいる、この多様性こそ価値ある
ことなのだと思わされる存在です。
ピラカンサ(実)
6月に白い小花をたくさん咲かせていたピラ
カンサが、今は赤い実をつけています。
花をたくさんつけていたので実もたくさんなる
だろうと思っていたのですが、予想していた
ほどたくさんはなっていません。梅雨が長くて
虫が受粉に来なかったのか、それとも暑い日が
続いたせいでしょうか。丈夫な木のはずですが
近所の家々のピラカンサを見て回っても今年は
残念ながら不作のようです。
お向かいの庭にもたくさんの鳥たちが集まって
賑やかに縄張り争いをしています。時にはやか
ましいほどピーピー鳴いて他の鳥を追い払って
います。今年は、実が少ないので益々、争奪戦
が激しくなるかもしれません。
4ヵ月前は、たくさんの実がなって今年も鳥た
ちの食料はまあまあ安心かな、と思っていたの
ですが予想は見事に裏切られました。
思えば人間の世界でも絶対なんてことはないで
すね。いつだって明日は、何が起きるかわから
ないのです。
セイタカアワダチソウ(花)
晴天でも吹く風が、急に冷たくなりました。
温かそうな陽だまりでセイタカアワダチソウの
花が、咲き始めています。蝶たちは、温かい場
所をよく知っていて、それぞれが花の頂点に留
まってゆっくりと羽ばたいています。
セイタカアワダチソウは、今や日本中に広がっ
て大群落を作っています。遠くから見ると休耕
田は、一年で一番美しい風景です。
蝶がよく留まっていることからもわかるように
養蜂家にとっては、重要な蜜源植物でもあり
ます。一時は、ブタクサと混同されて秋の花粉
症の原因と思われていましたが、虫媒花である
ことが判明して現在は汚名挽回中のようです。
北米大陸原産の植物で、ハチミツを取ると共に
草木染や入浴剤としても利用出来るようです。
小さな小花が集まった花穂は、よく見れば大変
美しいのに一度ついた悪いイメージはなかなか
拭い去ることが、難しいようです。蝶や蜂たち
だけでなく、いつか日本でも好かれる花になる
といいなぁと思います。