サザンカ(白花)
今年も公民館の白いサザンカが咲き始めま
した。
この花は、蕾の時はほんのりとピンクがか
っているのですが、開くと花は真っ白になり
ます。一番外側のガクの部分だけがピンク色
なのです。
よく垣根で見かけるサザンカは、濃いピンク
色の花が一般的だったような気がしますが、
最近は、白や淡いピンクなど色々な花を見か
けます。元々、サザンカは、日本では南の方
に自生地があるようで寒さに強い木ではない
のです。特に新しい品種である白やピンク色
は、寒さが苦手なようで私の住む地方では、
もっと寒くなると蕾のまま凍りついて咲かず
に腐っているのを見かけます。
丈夫で一年中緑を絶やさない性質を買われて
寒い地方に連れて来られたのでしょうが、痛
々しい姿を目にするとそこまでしてここに植
える必要があるのだろうか、と疑問に思って
しまいます。
週間天気予報を見ると来週には最低気温が5
度以下になる日もチラホラ見えています。
白バラのようなサザンカが楽しめるのもあと
わずかです。
今日の空50
今年の秋は思いのほか晴天が多く、その分
夕焼けを見る機会も増えました。
11月が始まってもう秋というより初冬という
雰囲気になってきましたが、雲ひとつない
晴天の日中は意外と暑く感じる日もあって
朝夕と昼間の温度差に衣服を合わせるのに
あたふたしてしまいます。
人間の衣替えはほぼ終了して、寒さに弱い植物
の室内への取り込みも終わりました。車のタイ
ヤ交換の予約も済んでいるので今冬はなんとか
慌てずに冬を迎えられるかなと思っています。
あとは父の運転免許証の高齢者講習が年末に
残っているのが一番の気がかりです。母は、私
が、運転するのだからもう更新しなくても良い
のでは?というのですが、本人は講習が通るの
ならまだ自主返納はしないと頑張っています。
長年、仕事でも車を使ってきたので自分から
権利を手放しては益々老け込んでしまうと思っ
ているようです。
父が運転する時は、なるべく私が横に乗ってサ
ポートするようにしていますが、人の命にかか
わる道具を動かしているという怖さがどこか希
薄になっているようで、ハラハラしています。
アキノキリンソウ(花)
家から一番近い雑木林の中では、今、アキノ
キリンソウの花が盛りです。
昨年、アキノキリンソウを見かけたのは12月
に入った頃だったので、今から思うと昨年は
盛りを過ぎた終わりの頃に見たのだなぁと思
います。盛りの今は、足元の至る所に咲いて
いてここはアキノキリンソウの宝庫なんだと
いうことにあらためて気がつきました。
図鑑やネットで調べるとアキノキリンソウは、
高さ70~100㎝と書かれているのですが、この
雑木林のものはせいぜい30㎝くらいのものが
多くキリンというにはちょっと小さいのでは?
と思ってしまう植物です。かといって小型の
ミヤマアキノキリンソウともちょっと違うよう
な気がしてこの場所で独自の進化を遂げた種な
のかなぁと毎年迷っています。
この花が終わると山野草の仲間の花は、春まで
見ることが出来ません。しばらくの間は人間が
改良した園芸植物に楽しませてもらうしかあり
ません。本来は長い冬眠期に入る植物を人間の
都合で無理して起こしておくために室内の温か
い場所を提供するのです。
ススキ(実)
秋風に揺れるススキの穂もすっかり綿毛になり
ました。
ススキは、夏の終わりからグングンと背を伸ば
し大きなものは大人の背丈を越えるものもあり
ます。広い草原から駐車場のようなちょっとし
た空き地でも土のあるところならどこでも生え
てくるので皆さんお馴染みでしょう。風になび
く穂は、たくさんの種の集まりであり、そのひ
とつ、ひとつが風に乗って新しい所で芽を出し
ます。
ススキが一面生える草原を放置しておくとそこ
には次第に乾燥を好む木々の種が風や鳥によっ
て運ばれてきて雑木林になってしまいます。私
がたまに行く散歩コースでも耕作放棄地だった
場所がすすき野になり、今はマツや低木の茂る
雑木林になりつつあります。その期間は、思い
のほか短くあれよあれよという間です。
ススキというとちょっとうら寂しい風景を思い
描きがちですが、自然の力は、人間が関わらな
ければ力強いものです。晩秋の日差しにきらめ
くススキの穂は、美しいだけでなく力強さを感
じる情景です。
ウリハダカエデ(紅葉)
同じ木の紅葉でも天気によってずいぶん違って
見えるものです。
池の上に枝を張り出したウリハダカエデは、毎
年、他のカエデより少し早く赤く色付いてき
ます。
昨年のように晴天の下では、一枚一枚の葉が
ステンドグラスのように光が透けて見えますが
今年ののように曇天の下では全体に紗がかかっ
たようにぼんやり見えます。
ウリハダカエデは、若い枝にマクワウリのよう
なシマ模様が見られることから名前がついたそ
うです。マクワウリは、親達の話によると昔は
よく食べられていた一般的なウリで、ほんのり
甘くてあっさりして美味しいウリだった、との
ことです。今は、ウリというよりメロンと呼ば
れる高級なウリしかお目にかかれないものね~
と懐かしがっていました。
今年の紅葉のピークは、私の地域ではこれから
ですが、気温の低い谷間では少しずつ赤くなり
始めています。黄色く色付く黄葉が先に始まり
一番目立つイロハカエデの真っ赤な紅葉は一番
最後になります。はたして美しい紅色に染まる
かどうか、まだまだ予断を許せません。
黄葉
雑木林には、赤く色付く木が多い林と黄色く
色付く木が多い林があります。
赤い林は、カエデやケヤキの木が多く、黄色い
林はイチョウやカツラの木が目立ちます。
ただ、カエデの仲間でもイタヤカエデの葉は、
黄色く色付くので一概には言えないところが自
然界の不思議なところです。
紅葉した林は大変美しいなぁと思いますが、私
が好きなのは黄葉した林の方です。緑色の葉で
覆われていた林が黄色くなるにつれて林の中は
段々と明るくなってきます。昨日より今日、今
日より明日と少しずつ明るくなります。そして
雨や風が通り過ぎるごとに葉を落とし最後には
幹と枝だけの林と変わります。
今はまだ雑木林の中は湿っていますが、裸にな
った木々が大半を占めるようになると乾燥した
清々した場所になります。
あんなにたくさんのキノコもどこかへ隠れてし
まい燦々と日が当たる地面が温かく感じられる
のです。
日当たりの良くなった斜面を探して日がな一日
お弁当を食べたり、ウトウトしたりして時間を
忘れて過ごすのが私のささやかな夢です。
カキ(実)
今年のカキの実の収穫は、最終的には20個
くらいになりそうです。
花はたくさん咲いたのですが、まだ青い実
のうちにかなりの数が落ちてしまい、残っ
て食べられそうなのはその程度です。
この20個のうち既にヒヨドリがいち早く見
つけてつついてしまったものもあるので実際
人間が食べるのは10個くらいでしょう。
特別の手入れもしていないので食べても甘味
が少なくそれほど美味しいカキではないと思
うのですが、昨年は1個もならなかったので
今年は少しは老親たちのお楽しみもあるとい
ったところです。
カキの木の実の数は、本当に予測不可能で、
ある年は食べ切れなくて干し柿を作るほどた
くさんなったかと思うと昨年のようにゼロと
いう年もあります。
今年は、山のドングリも不作でクマの出没被害
が相次いでいると新聞で読みました。我が家の
ようにお遊びでカキの数を数えているうちはよ
いのですが、カキ農家さんや野生の生き物にと
っては少ない実りは死活問題です。
一枚として同じ模様のないカキの葉を眺めなが
ら毎年一定の実りがあると良いのになぁと想い
をはせました。
ノコンギク(花)
ノコンギクは、今の時期、ちょっとした草むら
に必ずと言ってよいほど見かける野菊の1つ
です。紫の色も薄いものから濃いものまで色々
花の大きさも小さいものから大きいものまで
様々です。
子供の頃は、菊なんて地味でつまらないなぁと
思っていましたが、今では気分を静める香りも
いつもどこかに必ず群れている姿もホッとする
と思っています。
風がすっかり冷たくなり上着なしでは歩けなく
なりました。晴れていると思ってもたちまち黒
い雲に覆われて天気は不安定です。西の空には
絶えずドンヨリした雲が横たわって日本海側は
荒れているのだな、と想像出来ます。
のことではないか、といわれているそうです。
「民さんは野菊のような人だ」と言われた民さ
んの足元にも及ばない私は、いつも悶々とした
心を抱えて過ごしています。やっと見つけた小
さな楽しみも次々と禁じられ、小さな世界に閉
じ込められています。
あとどのくらいここに居ればよいのか知ってい
るのは神様とノコンギクだけかもしれません。
リンドウ(花)
今年もようやく庭のリンドウの花が、咲きま
した。
この花は、母の誕生日に花が咲いていた鉢植
えをプレゼントした後、庭に植えました。
母の誕生日は、9月です。園芸店でリンドウ
の苗が並ぶのもだいたい9月になったころで
す。
野生の花は、普通、高地で花期が9月のため
でしょう。鉢植え苗は、花芽がびっしり付い
ていたのですが、庭に植えてから咲くのは毎
年10月下旬から11月上旬にかけて8輪ほどで
す。普段は、全然株が大きくならず枯れてし
まうのではないか、と心配するほど目立たな
いのですが、花が咲く頃になると急に蕾が膨
らんで、開く不思議な生態をしています。
リンドウは、ポカポカの太陽光が花に当たっ
ている間だけ花が開きます。曇りの日は、花
は閉じたままです。どのくらいの光量で花が
開くのか、厳密な数値はわかりませんが、私
がポカポカして温かいと感じる時は、たいて
い花が開いています。
先日、草むらの中に青い塊を見つけました。
イノシシ除け柵に阻まれて近づけなかったの
ですが、多分野生のリンドウが咲いていたの
だと思います。細々と命を繋いでいる野生の
青い花は本当に手が届かない存在でした。
トチ(黄葉)
晴天の休日の昼下がりは、散歩をしている人に
多く出会います。
公園の敷地沿いに植えられたトチの木は午後の
日差しを受けて金色に輝いて見えます。
ほんのわずかな間ですが、1年で一番トチの木
が美しい時期です。
少し離れたバス通りの方にもトチの木の並木は
あるのですが、そちらは絶えず枝が短く刈り込
まれてしまうので葉がまばらでこのような金色
の黄葉を見ることが出来ません。美しさよりも
車が優先されてしまう悲しい現実です。
公園のトチの木は、この1年私に順番に季節ご
との変化をじっくり見せてくれました。
あんなにたくさんの花が咲くことも知らなかっ
たし、大きなツヤツヤの実が殻の中から出てく
ることにも驚きました。
木はいつも無言です。ただそこに生えているだ
けです。私の時間にむやみに踏み込んで来るこ
ともありませんし、意地悪をすることもないで
す。いつも私に寄り添って何かを感じさせてく
れる貴重な存在です。