イネ(実)
田んぼのイネは頭を重たげに垂れて収穫を待
っています。
花を咲かせてからほぼ1ヵ月で子孫を残すた
めの作業を完了しました。
近くの電線にはスズメたちが行列してレスト
ランの開店を待っています。スズメよけのタ
コやキラキラ光るテープは全く気にしていま
せん。
現代のイネの収穫は機械化されているので始
めればあっという間です。ただ、機械を田ん
ぼに入れるためには田んぼの土を乾かさなけ
ればならないと聞きました。重量のあるコン
バインは、湿った泥に嵌まると動けなくなっ
て無用の長物となってしまうからです。
今年は、この地方も暑い夏であると同時に雨
の多い夏でした。このところも雨が降る日が
続いています。せっかく実った稲の穂も長く
雨に打たれている間に痛んできます。また重
くなった穂はそのうち自らの重みに耐えかね
て倒れてしまいます。
農業は、お天道様の機嫌次第の博打のような
一面を持っています。どんなに科学が進歩し
たとしても何か偉大なものには、勝てないよ
うになっているようです。
ゲンノショウコ(花)
私の住む住宅街から田んぼに下りで行ったと
ころは、カヤなどが茂った空き地になってい
ます。普段はそのまま通り過ぎてしまいます
が、なんだか気になってカヤの茂みの足元を
よく見ると白花のゲンノショウコの花が数輪
咲いていました。
昨年、赤花のゲンノショウコを見た場所を先
日確認してみた時は見つけられなかったので
すが、こんなところにもあったとは!とちょ
っと驚きました。
日当たりが良い所を好むと聞いていたのです
が、背の高いカヤの足元で日が当たるのかな
と思いましたが、まだ若いですが種をつけて
いる株もあったのでゲンノショウコたちはそ
れなりに気に入っているのでしょう。
白地に薄紫の筋の入った花は、フウロ科の特
徴をよく現していて小さな花ですが気品が感
じられます。もっとたくさん咲く群落があれ
ばいいのに、と見つける度に思います。
お腹を壊した時の民間薬として知られていた
ということは、昔はどこの地方でも野原へ行
けば簡単に手に入ったということです。下痢
止めは、飲み過ぎると逆に便秘になってしま
う副作用がありますが、ゲンノショウコはそ
ういう心配もないそうで不思議と優しい薬な
のです。
ツユクサ(花)
秋雨前線の北側にすっかり入ってしまったた
めに朝の気温は、16度前後となりました。先
週の暑さがウソのように寒いです。
真夏の間も涼しい日陰を選んで咲いていたツ
ユクサの花は、雨のシャワーを浴びて生き生
きとしています。
ツユクサという響きから梅雨草の漢字を連想
しますが、元はツキクサ(着き草)というの
が語源ようです。この花の汁が、衣服にこす
れると着色し易いところからついた名前のよ
うです。色がついても水で洗えば簡単に落ち
てしまうので心配はいりませんが、この現象
を利用して昔は、友禅染の下絵を描くのにツ
ユクサの汁を使っていたそうです。洗えば消
えてしまう手芸用のペンは現代でもあります
ね。原理はきっと同じなのでしょう。
青い花びらがくっきりと際立つのは、黄色い
雄しべがあるお蔭。アサガオと同じように朝
咲いて昼頃には萎んでしまう儚さ、色がつい
ても水に流されてしまう弱さ、万葉の時代か
ら静かに日本人に寄り添って来た野草です。
冬が来て地上からツユクサが、消えてもまた
来年再会出来ることを当然と思っている私た
ち。いつまでもこの青の美しさが、続くこと
を願って止みません。
アオハダ(実)
昨年は、ほとんど見つけることが出来なかっ
たアオハダの実が赤く色付いてきました。
艶のある実は光を受けると独特の光沢があり
緑の葉とのコントラストが、大変美しく感じ
られる木です。
日本全国に自生する木だということですが、
私はこの地に来てから知りました。
最寄りのバス停の周辺は、雑木林になってい
て初秋にバスを待っているとたくさんのアオ
ハダの木に赤い実がついて大変賑やかになり
ます。赤い実がなる樹木は、もう少し秋が深
まってから目立って来るものが多いのですが
アオハダはこの実のお蔭で一足早く一番目立
っている木かもしれません。
アオハダは、名前が示すように幹の樹皮が他
の木よりも緑色がかっています。そして雌雄
異株なため実がなる木とならない木がありま
す。
アオハダの生態を調べていると昨年全く実が
見られなかったのは、昨春は雨が少なかった
ためかもしれないと思い当たりました。アオ
ハダは、乾燥を嫌う樹木だそうで初夏に咲く
大変地味な小さな花は、ほとんど咲かなかっ
たのかもしれません。
今年は、アオハダの花から若い実、鈴なりの
赤い実をじっくり観ることが出来た嬉しい年
です。
ヘクソカズラ(花)
ヘクソカズラの早いものはもう実をつけ始め
ています。
秋が深まると金茶色に染まる実は、まだ若い
ため緑色。 花芯が赤い花と緑色の実が一緒に
見られるのは今のだけの楽しみです。
薄いピンク色の花は、お灸の形にも似ている
ためヤイトバナという別名も持っています。
若い実や葉をつぶすと悪臭が出ることからこ
のような名前がついたと言われていますが、
晩秋になって枯れたものには悪臭はありませ
ん。悪臭を放つのは、生き物に食べられるこ
とを防ぐための進化と言われていますが、最
近はホシホウジャクというスズメガの一種の
幼虫がヘクソカズラを食べることがわかって
います。
生存競争の勝者となるためには日々、進化す
る努力を怠ってはならないのです。この競争
から脱落すればそれは即、絶滅を意味するの
ですから。
なかなか明るい兆しが見えて来ないコロナウ
ィルスとの戦いも、諦めは人類の絶滅につな
がります。平和な時はお山の大将だったとし
ても本当はか弱い生命体であることを肝に銘
じて出来ることをやり続けなければ、と野山
を見ていて思うのです。
ヤマボウシ(実)
昨年は実の付きが悪かったヤマボウシです
が、今年は豊作のようです。
散歩の途中で見かける木々にはすでに赤く
色付いた実があちこちで見られます。
ヤマボウシの実は食べられると聞いていま
すが、私はまだ食べたことがありません。
我が家にも玄関横にヤマボウシはあるので
すが、北西の角で日当たりが良くないせい
か花は少ししか咲かず、実がなったことは
ないのです。一説にはマンゴーのような甘
さがあるとのことです。
このところ夏が戻って来たような暑さが続
いていましたが、朝晩はさすがに風がひん
やりとしています。日が落ちるとどこから
ともなく秋の虫の声が、賑やかに聞こえて
きます。ヤマボウシの花が咲いていた頃は
日に日に昼の時間が伸びていたのに今は、
もうこの辺りは日の出の時刻が5時過ぎで
朝、散歩に出る時もまだ薄暗いです。季節
が確実に進んでいるのを感じます。
ヤマボウシの葉が色付き、葉を落とす季節
もあっという間にやって来るのだろうなぁ
と思うと取り残されるような寂しさを感じ
てやるせない気分になります。
ホオズキ(実)
↓<ホオズキの花>
今年もホオズキの実が、色付く頃となりまし
た。いつもの年より色付きが良く、色も濃い
ような気がします。
7月の初めに白い花を咲かせて夏の暑さで日
に日に熟していったようです。
ホオズキは、最初母がどこからか貰って来て
庭に植え、その後は毎年こぼれ種で勝手に庭
のあちこちで育っています。ナス科の植物の
ため同じ場所に植えると連作障害で上手く育
たないと言われていますが、ほったらかしで
も少しずつ自分で芽を出す場所を変えて問題
なく実をつけています。
ホオズキの花が咲く7月9日~10日は、各地
でホオズキ市が開かれている頃です。
この日は、一度の参拝で4万6千日分の御利
益があると言われている参拝日でこれにあや
かって浅草寺で縁日が開かれるようになり、
それが全国に広まったそうです。
旧暦は、新暦より1ヵ月以上後ろにずれるこ
とが多いので丁度ホオズキが色付き始める頃
が7月9日~10日が当たります。
今は、ほとんどの行事が新暦で行われること
が多くなりましたが、ホオズキが色付き始め
ると江戸時代の夏に想いを馳せるのです。
ノブドウ(実)
今年はノブドウが大繁殖しています。
散歩をしているとちょっとしたフェンスや
木々にからみついているのをよく目にしま
す。
ノブドウの花は、実の大きさに比べると大
変小さく写真の奥にも写っていますが、目
立たない存在です。夏の盛りの頃は、小さ
な粒々の花が咲いていますが、花びらもほ
とんど退化した全円状の薄黄色の花は、花
というには地味過ぎる形をしています。
秋風が涼しく感じられる頃になるとノブド
ウはカラフルな実をつけ始めます。
それぞれの実は、1つとして同じ色、模様
のものはなく唯一無二の存在です。最初、
緑色だった実が秋が深まるとともに様々な
色に変わっていくのを見るのは秋の散歩の
楽しみです。ブドウとつきますが、食べる
ことは出来ません。でも、眺めているだけ
でもあきない存在。
ノブドウを見つける度に立ち止まって眺め
ていると、時の過ぎるのを忘れて最後は走
って帰る羽目になるのです。
今日の空87
市の健康診断の胸部レントゲンで引っかかっ
てしまい再検査。
昨年はコロナの影響で11月に検査をして問題
なしで今年は7月の健診で再検査とはどう考
えても変です。再検査の予診票を見ていてア
ッと気付いたのは「骨折」の文字。2月末に
肋骨にヒビが入ったことをすっかり忘れてい
ました。案の定、再検査で撮ったCT画像の肋
骨の一部は他の部分より太く白く写っていま
した。骨折すると太くなって再生するのは本
当なんだなぁ、と医師の説明を聞きながら思
って無罪放免になってバスで帰宅。
前を走っていたバスが止まって運転手さんが
突然下りて来て私の乗っているバスの運転手
さんに対向車の運転手が具合が悪くなって衝
転中だったのでケガはないようでしたが、そ
れから警察や救急車が来たりで全く動けず、
狭い道にバスや車が何台も詰まって立ち往生
ここから歩くことになったら?タクシーを呼
べる場所ですら20分はかかるし…と途方に暮
れていましたが、45分程すると何とかバスは
走り始めました。
丁度、日没時刻になり、窓から雲を見ると沈
んでいく太陽の光に下から照らされて薄っす
らと虹色がかっています。これが噂の彩雲か
な?吉報の兆しと聞いたけど良いことは、バ
ス賃が無料になったこと?ですかねぇ。
ツリガネニンジン(花)
ツリガネニンジンが咲く新しい場所を見つけ
ました。新しいといっても私が今まで気付か
なかっただけですが。
そこはスギ林の北側で舗装された道路までは
少し距離があるため空き地になっています。
日当たりもあまり良くなく朝日しか当たらな
いため畑にも田んぼにも出来ず放置されてい
るようです。しかし、そのお蔭で草刈りもさ
れず野草が結構残っています。
興味がない人には草ボーボーの空き地にしか
見えませんが、よく見るとツリガネニンジン
がたくさん咲いています。
ツリガネニンジンは、キキョウ科ツリガネニ
ンジン属の植物です。花の色はキキョウ科共
通の薄紫色で蕾のうちは白い雫型をしていま
す。根の形がチョウセンニンジンに似ている
ため、この名前がついたそうですが、繊細な
地上部とは正反対に根は強靭で簡単には引き
抜くことは出来ません。
秋雨のやみ間をぬって散歩に出かけます。草
むらは乾く間もなく濡れているため足元は、
帰る頃には靴下まで濡れてしまいます。
ツリガネニンジンは、一雨ごとに大地が冷や
されていくのを喜んでいるように生き生きと
我が世の秋?を楽しんでいるようでした。