ハオルチア(オブツーサ)
普段は緑色のハオルチア・オブツーサが、こ
のところの寒さで赤く紅葉しています。
冬の間寒さに弱い植物は、私の部屋の隣の部
屋の窓辺に集めて管理しています。朝日の当
たるこの部屋は狭く変形した作りのため、も
ったいないことにガラクタ置き場になってし
まっています。
などが春の来るのをジッと待っています。
寒さに弱い植物を集めているとはいえ、特に
暖房などもしていないため霜が降りないだけ
で室温は結構低く晴天でも10℃に届かないく
らいです。
多肉植物は、冬の間はほとんど水やりをしま
せん。葉や根に蓄えた水分だけで十分生きて
いけるからです。ごくたまに、葉がシワシワ
になってきた時だけ鉢底から水が出るまでた
っぷり水を与えるだけです。それも一冬に2
回くらいでしょうか?
晴天の朝、カーテンを開けてハオルチアたち
に思う存分太陽を当ててあげます。外は凍り
つくような寒さでも日の当たる窓辺は眩しく
春のようです。外は粉雪が舞っていてもハオ
ルチア・オブツーサは、光の春をいち早く知
らせてくれる宝石のような植物なのです。
アオキ(実)
東京で大雪が降って大混乱になっている頃
私の住む地域はこのところ少しだけ気温が
上がって積もっていた雪が溶けました。
関東地方に雪が降るのは南岸低気圧のせい
ですから少しずつ春が近づいている証でし
ょう。
雪が溶けると歩き易くなるので、雑木林へ
行きたくなります。今の時期の雑木林は何
も面白いものはありませんが、ツヤツヤの
アオキの実がたくさん見られます。コロン
とした楕円形の実はまだ緑色ですが、春に
向かって段々赤くなります。昨年の春に咲
いた花が1年近くかかって熟すのです。
実の近くの枝には新しい花芽もすでに控え
ており、赤い実と花がほぼ同時期に1本の
木で見られるのも春のアオキの姿です。
アオキは常緑低木で雑木林の中では大きな
木々の足元に生えています。春から秋まで
は少しの日の光で生活し、冬の間だけ思う
存分太陽光線を享受して暮らすよう進化し
ています。名前の通り幹も緑色をしており
その緑色の部分でも光合成が行われていま
す。少ない太陽光を有効利用するために進
化している姿にほとほと感心します。
これからもまだアオキの上には雪が降り積
もるでしょうが、心配ありません。
フクジュソウ(芽)
久しぶりに気温が9℃くらいまで上がり、庭
の雪もほとんど溶けました。
黒い土の間からは、待ちかねていたフクジュ
ソウの芽がのぞいています。まだか、まだか
と首を長くして待っていたので小さな芽を見
つけただけでもう春が来たような気分です。
我が家ではフクジュソウがある場所は、2ヶ
所ありますが、片方は少し日当たりが悪いの
で遅れて花が咲きます。最初は全部日当たり
が悪い場所にあったのですが、少しでも早く
花が見たくて母と一緒に日当たりの良い場所
に株分けしたのです。
たいして広くない庭の中で日当たりの良い場
所は限られています。フクジュソウは、早春
から初夏まで地上に現れていますが、その後
は地下で休眠します。その後、同じ場所は入
れ替りにアサガオが秋まで陣取っています。
と紅葉を見せてくれて年末から雪に覆われる
のです。ガーデンデザイナーのように設計し
たわけではありませんが、自然とそういうサ
イクルに定まりました。
昨年は芽が出てから2週間くらいで花を見る
ことが出来ましたが、今年はどのくらいかか
るでしょうか?待ち遠しいです。
ヒマラヤユキノシタ(花)
例年なら3月、早くても2月中旬以降に花が
咲くヒマラヤユキノシタがもう咲いているの
を見つけました。
家から5分位離れた民家の庭と道路の境目に
ある株であまり日当たりも良くない場所なの
に不思議なことです。
我が家にもヒマラヤユキノシタは庭にありま
すが、まだ今年の花は咲いていません。それ
こそ雪の下になってじっと寒さに耐えていま
す。北海道でも露地で栽培出来るほど寒さに
は、強いそうですから案外ヒマラヤユキノシ
タ自体は寒いと思っていないのかもしれませ
んが。
花は、咲き始めは大きな葉の付け根に開くの
で葉をかき分けないと見えません。いくらヒ
マラヤ原産の植物でも毎日雪がチラついてい
るこの辺りでもう咲いてしまっては凍ってし
まわないのでしょうか。
ヒマラヤユキノシタにとって辛いのは、むし
ろ高温多湿と直射日光です。ジメジメとした
日本の蒸し暑い夏は、本来最も苦手とする植
物なのです。
大きな葉の奥でひっそりと咲いている透き通
るようなピンク色の花は、冬の澄んだエネル
ギーを放出して一足早い春の気配を告げてい
るように見えました。
ヤブラン(実)
冬の鈍い光の中で漆黒のヤブランの実が、光
っています。
ヤブランは庭園などに植えられているのをし
ばしば見かけますが、雑木林の草むらにも自
然に生えている植物です。
夏の終わりから薄紫色の花を咲かせ、その後
なる実は最初、翡翠のような緑色ですが冬に
なると真っ黒に変わります。黒い実は、直径
5㎜前後で冬の終わりまで数を減らしながら
残っています。黒ウルシを塗ったように見え
る黒い実は光沢があるため写真を撮ろうとす
ると自分が薄っすらと写りこんでしまうほど
です。数珠やネックレスにしたらきれいだろ
うなぁといつも思います。
されています。ドラッグストアの棚に並んで
いた麦門冬湯という咳止めの薬がヤブランの
根を原料にしていると知ったのはつい最近の
ことです。
日陰でも良く育ち、寒さにも強いヤブランは
最近は洋風の庭園にも盛んに利用されていま
す。園芸店ではリリオぺやサマームスカリな
どという新しい名前で呼ばれていたりしてビ
ックリさせられるのです。
今日の空98
昨日は、道路の雪もほとんど消えて久しぶり
に田んぼまで行くことが出来ました。
田んぼの横を流れる小川を遡り、早春に福寿
草の群落が見られる場所に偵察に行くとまだ
そこはただの枯野でした。少しは芽吹いてい
るかな?っと期待して行ったのですがやはり
早過ぎたようです。
あぜ道にはまだ所々雪が残っており、何度も
足を取られ転びそうになりながら歩いている
と大きな獣の足跡などもあり、もしかしたら
イノシシ?と考えるとドキドキします。
最高気温がここ最近では一番高い5℃近くま
で上がって北西の風はかなり強く吹いていま
したが気持ちの良い午後です。
家に戻ると両側に部屋がある私の部屋は、暑
いくらいポカポカでした。夏は地獄のように
暑くなる代わりに冬は天気さえ良ければ日中
は暖房要らずになるのです。
しばらくすると、部屋の窓から見える雲がオ
レンジ色の染まり、下の方は金色に照らされ
てきました。
あと何日したらあの枯野が金色に輝くフクジ
ュソウで埋め尽くされるようになるのだろう
と思いながら眠りに就くと今朝はまた一面の
銀世界でした。
ツララ3
朝まで雪が降っていた空が雲ひとつない快晴
に変わりました。
家の近所を歩いていてあまりの空の青さに顔
を上げると街灯の笠の縁にツララが伸びてい
るのに気づきました。
全長20㎝くらいの透明なスティックは日の光
を透過してキラキラと光っています。
ツララは、寒い日ばかりが続いても出来ませ
ん。降った雪がいったん溶けて雫となった後
再度低温にさらされることを繰り返すことに
よって段々と長く成長していくのです。
街灯の傘の上までは高くて見えませんでした
が、太陽が照ってくると積もった雪はたちま
ち溶けるのでしょう。多分、笠は金属製で熱
を伝えやすいため周囲の気温が瞬時に水分の
形態に影響するのです。
雪が止んで晴れた直後の空気は、澄み切って
とてもきれいです。空気中の塵や埃が雪に吸
着して地面に落ちてしまうからです。無意識
に呼吸していても澄み切った空気をなんとな
く感じます。
キラキラと光るツララは、澄み切った空気の
透明度を表すものさしのようだなぁと思いな
がらしばらく見つめていました。
ヤブツバキ(花)
晴れていても外に干した洗濯物は凍るような
寒さです。そんな中でもヤブツバキは毎日少
しずつ花を咲かせています。
暗緑色の葉は寒さに当たっても痛まないよう
に硬いクチクラという丈夫な膜で覆われてい
ます。クチクラというのはラテン語で英語で
はキューティクルといいます。そうです、皆
さんご存じの人間の髪の毛の表面を覆ってい
る天使の輪を作る物質です。
人間の健康な髪の毛が光に当たると天使の輪
を作るように、ツバキなどの葉も太陽の光が
当たると光って見えます。このようなことか
らツバキなどのように葉に光沢がある木々を
照葉樹と呼びます。
照葉樹の林は、私の住むような北国では成立
が困難です。最も適しているのは赤道直下の
地域でジャングルは、その最たるものです。
ツバキの仲間は、照葉樹の中では最も北に進
出した木々の1つなのです。
凍りつくように寒い冬でも花を開き続けるツ
バキは、木偏(へん)に春という漢字で表され
ます。これは日本独自の国字ですが、春を待
ちながらも厳しい冬から一花一花咲かせ続け
る様子を見ていると昔の人はツバキのことを
ちゃんとわかったうえで作った字なのだなぁ
と納得するのです。
雪景色2
両親がこの場所に転居した20年ほど前は、雪
が降るといっても朝サラッと積もる程度で昼
までには消えてしまうのが普通でした。
ところが、ここ数年は12月~1月にかけては
降れば雪かきが必要なほど積もります。日本
海側の地域や北海道に住む方々に比べれば赤
ん坊のようなレベルでしょうが、朝起きると
真っ白になっている風景を見るとガックリき
ます。特に我が家の前の道は北東に当たるの
で建物の影になってなかなか消えないので困
っています。両親が滑って転倒しては、後々
もっと面倒なことになるので毎日最低限の雪
かきに精を出しますが、本心ではやりたくな
い家事のナンバー1です。
仕方なく始めた雪かきも終わりの方になると
体がかなり温まってきます。終わるとその余
熱が残った体で近所の高台から景色を眺めに
行きます。夏は近くの飼い猫が涼みに来るよ
うな場所が、今は木々に粉砂糖をまぶしたよ
うな景色が見られるようになっています。
辛いけれど美しい季節を乗り越えて私も少し
は成長しているにだろうか?と自問自答して
みるのです。
ビワ(花)
今年も寒い中ビワの花がひっそりと咲いてい
ます。
濃い緑色の分厚い葉は艶々として寒さに強そ
うですが、花は産毛に守られた蕾からゆっく
り時間をかけて開きます。象牙色の花は、地
味で高い場所に咲くとほとんど人に気づかれ
ることなく終わってしまいます。
私は、ビワの実が大好物なので木を見つける
とついつい観察してしまいます。あの瑞々し
い、甘くてちょっと酸味の感じられる果実を
思う存分食べるのは子供の頃からの夢です。
今よりもっと南の地方に暮らしていた頃、ビ
ワは結構身近な木でした。梅雨入り直前の蒸
し暑い空気を感じるようになると、民家の庭
先から伸びた枝先にビワの実を見かけること
はごく普通の風景だったのです。自然にまか
せてなった実は、粒が小さくそれでも甘いよ
うでカラスたちが群がって食べていました。
雪がしばしば降るこの地方に来てからは、実
がなっているビワの木を見たことはありませ
ん。それでも来年こそは、子孫を残せるので
は?と花を咲かせ続けるビワを見ていると健
気で愛おしいと思うのです。