オウバイ(花)
しばらく通ることが出来なかったお気に入りの
散歩コースの工事が、終わったようでいつの間
にか通行止めの看板が撤去されていました。
全く当てにしていなかった展開に、いそいそと
久々に入れるようになった道を歩きました。
(足が少し宙に浮いていたかもしれない)
道の入り口のお宅の玄関ではオウバイがもう賑
やかに咲き出しています。それを見てそう言え
ば、昨年この花を見かけて写真を撮ろうと思っ
ていたのに撮らずに終わってしまったのだなぁ
と思い出しました。
車の中から見た時は、黄色一色だと思っていた
花はよく見ると絞り模様のようになっている花
もあったり、白もあったり、色々だったのだ!
と気付く。調べるとこの花も名前にバイとは付
くけど、ウメの仲間ではなく、むしろジャスミ
ンなどに近いということがわかりました。
ツル性で、よく見るのは、高い所に植えて枝垂
れるように下に向かって這わせる植え方ですが
ここは平らな所に植えてあるためツル同士が絡
み合ってちょっとこんがらがっていました。
オウバイ自体には香りはありませんが、ジャス
ミンの仲間だと知ったことで、なんとなく春の
甘い香りが一瞬だけ鼻先をかすめたような気が
しました。
クリスマスローズ(花)
散歩の帰りにご近所さんの花壇を見ると黒い
クリスマスローズに目が留まりました。
クリスマスローズというと私がよく目にする
のは白やピンク色の花が多いのですが、この
花はほとんど黒に近い色。厳密には濃い紫色
なのかな?
とっても珍しいなぁと思ってしばらく見つめて
から写真を撮らせていただきました。
こちらのお宅はバラの栽培に熱心で温かくなる
と庭中がバラの花で覆われるように次々と花が
咲きます。ガーデニングという言葉がピッタリ
なお庭はいつも手入れが行き届いています。
クリスマスローズの花はうつむき加減に咲くも
のが多く、ちょっと内気な印象を受けます。西
洋から来た花ですが、どことなく和風の庭にも
似合う花。日本で人気があるのもそんな点が、
気に入られているのかもしれません。
園芸植物は、次から次へと品種改良されて新し
い花が出回ります。日本人の繊細さと熱心さは
こういった分野に適しているようです。
ぼんやりと野山を歩き回っているだけの私は、
どちらも持ち合わせていませんが、時々目を
楽しませてもらえるのでありがたいご近所さん
です。
今日の空80
広い空の下に広い田んぼと雑木林が広がってい
ます。
今週になってやっとウグイスの鳴き声が時々
聞こえてくるようになりました。
今日は春分の日ですが、まだ田んぼも雑木林も
眠っているように静かです。明日から雨との
予報ですが、今日は珍しく風も弱く歩いている
と少し汗ばんでくるような陽気です。
いつのまにやら日の出の時刻も5時台に突入し
て、日没も6時に近づいています。日に日に土
は温められています。
関東より西の地域に住む人のブログを読むと、
「暑いくらい」というワードが度々出現して寒
がりの私はいいなーと羨ましく思っています。
この場所もあと1ヵ月もすれば、一面緑に覆わ
れるはずですが、今はまだ信じられないくらい
何もありません。
何もないということは逆に何でもあるとも言え
ます。この大地という土の中にたくさんの命が
眠っているのだなぁ~と思いをはせます。
今年はどんな命に出会えるのかな?と思うと少
しワクワクしてくる私です。
トチ(冬芽)
春の日差しに温められてトチの木の冬芽が
ピカピカ光っています。
あと少しするとこの中からトチの新葉が展開
してくるのです。
春先のトチの冬芽が光って見えるのはベタベタ
した粘液で覆われているからです。この粘液は
冬の冷たい乾燥した空気と虫などから新芽を守
る役目をしているといわれています。私たちが
クリームなどでお肌を保護するのと同じような
ものです。
トチは、ホオの木の葉の次くらいに、大きな葉
を持つ樹木ですが、寒い地方でもこの自前のク
リームで保護することによって葉が、痛むこと
なく春を迎えることが出来るのです。
トチの冬芽は、雨と暖かな日差しに何度も洗わ
れて日に日に大きくなります。葉が開く日が近
づくと本当に1日で様子が大きく変わります。
植物ではなく動物のようだなぁ~と思うほど動
きがあります。そしてある日、葉の塊を覆って
いた薄い皮が脱げて小さな葉と茎の塊が現れる
のです。皮が脱げてからの葉もドンドン大きく
なります。そして、ある一定の大きさに到達す
ると葉の生長は止まり、その後は花を咲かせる
準備に入ります。
散歩コースには至る所にトチの木が植わってい
ます。北国の気候に適応して生き抜いてきたト
チの木が思い切り葉を伸ばす日ももう間もなく
です。まだかな~とつい見上げてしまいます。
ミツマタ(花)
和紙の原料として有名なコウゾとミツマタ。
そのミツマタの花を久しぶりに見ました。
以前住んでいた場所の近くにはミツマタで
有名なお寺がありました。花の時期が来ると
テレビなどでも紹介されるほど有名になり、
周囲の家々でも庭に植えるほどになったので春
になるとよく見かけたのですが、今住んでいる
所ではほとんど見ることがありません。
ミツマタの花は、小さな花の集合体で満開に
なると小さな丸いポンポンが枝先にたくさん付
いたようになります。名前の通り、枝が3つに
分かれているからミツマタという名前がついた
といわれてます。ジンチョウゲ科のため、小さ
な花をよく見るとジンチョウゲの花にそっくり
です。気温が上がると香りを感じることも出来
ます。
ミツマタの花が咲く頃になると日中はだいぶ暖
かく感じられるようになります。高額紙幣や重
要書類に使われるミツマタを原料にした紙は案
外身近で使われています。
お金にはあまり縁がありませんが、春を告げる
可愛い花は身近に欲しいなぁと思っています。
ヒメオドリコソウ(花)
今年もオオイヌノフグリの群落に混じって
ヒメオドリコソウの花が咲き始めました。
両者の咲く日当たりの良い土手は晴天の日の
昼間はポカポカして暖かい場所ですが、朝晩は
冷たい空気を遮ってくれるものがない、吹きっ
晒しの場所です。そのためか、今年は、花が咲
き始めるのが少し遅れたような気がします。ど
んなに丈夫な野草でも、寒さが厳しい年は、安
全な地中で様子をうかがっているのでしょう。
ヒメオドリコソウに対してオドリコソウという
もう少し大きい種類もあるはずなのですが、残
念なことに最近はこの辺りではめっきり見かけ
なくなってしまいました。
オドリコソウの仲間は、シソ科の植物です。葉
にはシソ科特有のちりめん皺があり、花もよく
見れば食用のシソの花にそっくりです。
もう少し暖かくなるとこの群落にカラスノエン
ドウの花も加わって土手は益々賑やかな野草の
花畑となります。
いつでも心置きなく摘める野草があるってこと
は私の幸せの条件の一つです。
アオキ(実)
雑木林のそこかしこでアオキの実が赤く色付き
始めました。
今はまだ落葉樹の葉が出ていない明るい雑木林
もあと1ヵ月もすれは木々の葉で覆われて薄暗
い場所に変わってしまいます。アオキは、そん
な薄暗い環境を逆手にとってたくましく生きて
いる常緑低木です。
アオキは、丈夫なため公園などの植え込みにも
よく利用されていますが、外国でも人気があり
特に、葉が斑入り模様のものは珍重されていま
す。雑木林の中にもたまに葉に黄色い斑点模様
が入ったものや実の形が四角ばっている変種を
見かけることがあります。
雑木林の木々が芽吹き、林が昼間でも薄暗くな
った頃、アオキは花をつけ始めます。本来なら
日当たりが良い時期に花をつけた方が有利なよ
うに思えますが、競争相手の少ない冬の間に実
をつけ、鳥たちに散布してもらい、春から秋ま
ではゆっくりと実を充実させる道を選んだよう
です。
幹も細く他の樹木のように木材として活用する
ことが出来ないアオキですが、生き残るという
生命として究極の目的のために知恵を絞った姿
は、私をいつも感心させるのです。
アセビ(花)
今年もお隣のアセビの花が咲き始めました。
花は、ドウダンツツジにそっくりですが、咲く
季節はだいぶ早めです。
この辺りでは植えているお宅が多く、ピンク色
の花が咲く園芸品種もよく見かけます。
アセビは、元々日本に自生している常緑低木で
かなり山奥でもたくさん自生している所がある
ようです。以前、テレビで登山道の両側にアセ
ビが、ずらっと茂っている山も見ました。
馬だけでなく草食哺乳動物は、食べるのを避け
るため山などではアセビだけが残ってしまう場
合があるそうです。また、逆に増えすぎたシカ
から山の植生を守るためにわざとアセビばかり
を植えたりもするようです。
日本の山でシカが増えすぎたのは、ニホンオオ
カミが絶滅したため、といわれています。シカ
を食料とする動物が、今の日本の自然界にはい
ないため、山の木々を食べ尽くしてしまうシカ
の食害は深刻です。土石流などを防ぐために、
木々を植林してもあっという間に丸坊主にされ
てしまうのです。
人間の都合でニホンオオカミを絶やしてしまっ
たために大きな代償を強いられている、だから
といってアセビばかりを植えてもまた別の問題
が発生するのでは?と思うのですが…
一度崩れたバランスを元に戻すのは並大抵のこ
とではありません。
クロッカス(花)
薄曇りの天気の時は、外はほんのり暖かいのに
家の中はヒンヤリとしてきました。
冬の間、部屋の奥まで差し込んでいた日差しが
ほとんど入らなくなったからです。
空気が、少しだけ柔らかく感じられるように
なった庭でクロッカスが咲きました。
たくさんあったクロッカスも、年々数が減って
しまい、寂しくなったなぁと感じます。
今年の秋は、クロッカスとヒヤシンスの球根を
買い込んで冬の楽しみにしようと今から決めて
います。
クロッカスの花は、小さく、写真を撮る時は
地面に這いつくばるようにして写します。
冬の間はどこにあるのか全くわからないのに
春の気配を感じると針のような葉をスルスルと
伸ばし、いつの間にか咲いています。暗い土の
中でどうやって、春の訪れを知るのでしょう?
雨が止んだら、昨年見つけた紫色のクロッカス
がたくさん咲く高台へ行ってみよう!と思い
ながら恵みの雨の音に耳を傾けています。
ウメ(花)
庭のウメの木もだいぶ開いた花が多くなって
きました。
花が多くなり、気温が上がってくると甘酸っぱ
い香りも高まってきます。ウメの花とよく比較
されるサクラの花は残念ながら香りが高い品種
は少ないので香りはウメの強みです。
寂しかった枝に開いている花が増え、遠くから
でもウメの花が咲いているとわかるくらいにな
るとウメの木がたくさん植わった梅林は、霞が
かかったように見えます。梅林は、本来はウメ
の実を農作物として出荷するためのウメの畑の
ようなものですが、私にとっては花時だけは鑑
賞用の梅園です。
車に乗っていてよく通る国道の側には多分、昔
は梅林だったと思われるウメの木がかたまって
植わっている場所があります。今は、上を高速
道路が走り、そのために日陰になってしまった
ウメの木々は、他よりいつも花が遅れて咲き出
します。すぐ横をたくさんの車が、ひっきりな
しに通り過ぎて行きますが、ドライバーのうち
何人がこの梅林に目を留めているにかなぁ~と
時々思います。車中には、もちろん香りが漂っ
て来ることもないでしょう。
豊かさとはいったい何を指すのだろう?と思う
のはこんな時です。