淡々と・・・

淡々と過ぎていく日々、心にとまったひとこまを写真と短文で綴っています。

アヤメ(花)

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この時期、私の住む地域では田んぼのあぜ道

を歩くと、至る所にアヤメの花を見ることが

出来ます。

アヤメ、カキツバタハナショウブの花はい

づれもアヤメ科の植物で花が似ているため見

分けるのが難しい花です。「いづれアヤメか

カキツバタ」と慣用句になっているほど、優

劣がつけ難い時の代名詞ですし…。

基本的に私は、水辺に生えるものはハナショ

ウブまたはカキツバタ、陸上に生えていて外

側の花びらに網目模様があるものをアヤメと

判断しています。 

あぜ道のアヤメは、特に誰かが植えたわけで

はないようで日当たりの良い斜面を選ぶよう

にあちらこちらで咲いています。10輪位で群

れて咲いている様子は、真っ直ぐに伸びた茎

と相まって溌溂とした印象を受けます。

農家の方にとっては、見慣れた野草でしかな

いようで、田の草刈りの時は、無造作に刈り

取られて打ち捨てられています。拾って帰り

たい衝動に駆られますが、アヤメは、一日花

なため、活けても次の日には、萎れてしまい

ます。

田の土に還るに任せるのが、一番なのだと自

分に言い聞かせてさよならするのです。 

 

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エゴノキ(花)

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今の時期、雑木林の至る所ではエゴノキの花

を見ることが出来ます。

白い小さな花は、鈴なりに咲き、薄暗い林の

中でそこだけ淡く発光しているように見えま

す。

エゴノキの足元は、先に咲いた花が散り敷い

ており、しばらく立って見ている間にも雫が

落ちるように花が音もなくポトリ、ポトリと

落ちていきます。鳥のさえずりしか聞こえな

い林の中で静かに、絶え間なく雨だれのよう

なリズムで続いています。

雑木林を出て、家に向かって住宅街を歩いて

いくと薄いピンク色のエゴノキを植えている

庭があります。 後で調べるとベニバナエゴノ

キのピンクチャイムスという園芸品種のよう

です。自生のエゴノキは、ほぼ白い花だけで

すが、秩父の山中で偶然発見された木の種か

ら品種改良され、近年大変、人気があるそう

です。

日本中の雑木林に普通に見られるエゴノキ

すが、縦に長い日本列島では4月下旬から6

月までと地域によって見られる時期が異なり

ます。そのため、花に寄せる想いも人それぞ

れとなるのです。 

 

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マムシグサ(花)

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雑木林の中はすっかり木々の葉で覆われて薄

暗くなりました。

どこにこの緑は隠れていたのだろう?と思う

ほどたくさんの緑で埋め尽くされた空間は冬

の明るい林とは別世界です。

この時期、湿っぽい緑のグラデーションを注

意深く見て歩くと、奇妙な形の花を見つける

ことが出来ます。マムシグサです。

マムシグサは、茶色ぽいものと緑色のものが

ありますが、この辺りでよく見るのは緑色の

もので、アオマムシグサです。ヘビが鎌首を

もたげたような花の形からこう呼ばれるよう

になったそうです。

マムシグサは、サトイモナンテンショウ属

多年草で有毒植物です。花のように見える

部分は、苞(仏炎苞)という器官で実際の花

は、この中で穂状になって包まれています。

ミズバショウなどと同じ構造ですね。

ナンテンショウ属の仲間は、性転換すること

で有名で雄花から両性花さらに雌花へと環境

に合わせて変化するそうです。環境が悪い時

は雄花ばかりが存在し、気温と湿度が上がる

と雌花になり種子を作って子孫を残します。

種子は真っ赤なトウモロコシのようで晩秋の

雑木林でたまに見つけるとギョッとするほど

毒々しい色です。

昨年は、少雨だったせいか全く見かけなかっ

た花ですが、今年は適度に雨が降るため所々

で6~7個ずつ固まって咲いています。

秋に赤いトウモロコシが、見られるのを楽し

みにしています。

↓<落ち葉の上に横たわる赤い実> 

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ヤブデマリ(花)

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今年は、ヤブデマリの花もあっという間に終

わりになりました。

ガクアジサイによく似た花は、谷筋のあちら

こちらで見られ、朝日を受けて咲く姿は大変

清々しいものです。

たいては、少し薄暗い木々の間に挟まるよう

に咲いているヤブデマリですが、この木は、

高速道路のすぐ横の土手で見つけました。

山を切り開いて作られた高速道路は、私の家

から歩いて10分ほどの距離ですが、間に雑木

林があるお蔭で、家にいて車が走る音が聞こ

えてくることはありません。ただし、一旦、

雑木林に入れば、全身が車の騒音に包まれて

しまいます。大きな音が苦手な私は、なるべ

く高速道路の方へは行かないようにしていま

すが、人が入らないため意外と道路脇の土手

には自然の草花が残っているのでたまに朝早

くなら少しは騒音も少ないかと思って行って

みるのです。

車というものは、自分が乗っていると意外と

音が気にならない不思議なものです。高速道

路を走っている車の運転手も自分がまさか騒

音をまき散らしているとは思っていないので

しょう。そして、すぐ傍らに美しい草花があ

ることにも気づいていないのでしょう。 

 

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ハハコグサ(花)

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ハハコグサは、祖母が好きな花だった、と

よく母が話しています。

祖母は、若い頃は東京で看護師として働き

結婚してからはお産婆さんとして働きなが

ら一男七女を育てた人です。小さな体でど

こにそんなパワーがあったのだろう?と思

うほど働きづめの人でしたが、私は数える

ほどしか会ったことがありません。

でも、この世に私が、出て来た時に最初に

会った人でもあるのです。

私の世代でも、そろそろ病院で出産する人

が増えていたのに、なぜ母が、祖母に助産

を頼んだのかわかりませんが、母は実家で

私を昔ながらの方法で生んだのです。

7人姉妹の中で祖母に手伝ってもらって出

産したのは、母だけのようです。

幼い頃、下の妹2人に両親を取られ、仕方

なくお祖母ちゃん子になっていた私の母は

せめて出産の時だけでも母親に付き添って

欲しかったのかな~、と私は想像していま

す。

今年は、私の住む地域はハハコグサが当た

り年のようでたくさん咲いているのを見か

けます。母が、何度も口にする祖母が、こ

の草を好きだったという言葉は、ちょっと

切なく私の耳に響くのです。

トチ(花)

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昨年はたくさんの花をつけていたトチの木で

すが、今年の花はかなり少なめです。

花が咲いている場所も高い枝ばかりで昨年

とは大違い。どの木も葉は青々として元気

そうなのにどうしたんだろう?と思ってい

ます。たまたま昨年が豊作な年だっただけ

なのかな?

ぼんやり見ていると、季節は毎年同じこと

を繰り返しているように見えます。しかし

注意してみれば、その年ごとに違いがある

ことに気づかされます。一番の要因は、天

候ですが、それ以外にも様々な影響を受け

て植物は、花や実の数を増やしたり減らし

たりしています。

植物が、花や実をつけるのは本来、子孫を

残すためであって、人間のためではありま

せん。 沈黙していても日々戦っているのだ

ということに改めて気づかされます。

折に触れて、トチの木の観察を続けてきて

今年もたくさんの花が見られるものだと思

い込んでいました。しかし、予想外に花は

少なく裏切られた感じです。

未来は、私に都合の良いようには出来てい

ないのです。でも、だからといって未来を

悲観しているわけでもない私、自然界と同

じように私も日々、揺らいでいるのです。 

 

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クレマチス(花)

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クレマチスの花は、開いたばかりが一番濃い

色をしています。

日が経つと花の大きさは段々大きくなります

が、花びらの色は褪せてきます。

クレマチスは、非常に品種が多い植物で落葉

するもの、常緑のもの両方あります。花の時

期も春から冬咲きのものまであり、形も風車

のように開いたものから釣鐘型のものまでた

くさんの種類があります。

我が家にあるクレマチスは、全部風車型の花

ですが、最初は、ピンクに白い縁取りが入っ

た1種類だけでした。ところが、いつの間に

か真っ白なものと赤紫色の3種類に株が増え

てしまいました。

最初の株が自家受粉して白と赤紫に先祖返り

したのか、それとも近所の株から花粉が運ば

れて来たのか、わかりませんが、植えたわけ

ではないのに増えました。

今の時期、この辺りの庭ではあちこちでクレ

マチスの花を見かけます。寒さに強い品種が

多いのでこの地域の気候に合っている植物な

のでしょう。夏になると雑木林の縁や田んぼ

の畔でよく見かけるボタンヅルという花もク

マチスの仲間です。

大きな花びらが、風にヒラヒラと煽られてい

るのを2階の窓から眺めているとなぜかとて

も豊かな気持ちになれる魅力的な花です。 

 

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キリ(花)

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今年もキリの花が盛りを迎えました。

ここより南の地方の方のブログなどをのぞい

てキリの花が咲いているのを見つけてはいい

なーと思っていました。ようやく自分の目で

実物を見ることが出来るようになったので嬉

しさはひとしおです。

薄紫色のキリの花は、遠くから見ると煙って

いるように見えます。釣鐘型の花は、咲き終

わると1つ1つが下に落ち、木の足元を覆っ

ています。サクラの花のように花びらが、バ

ラバラにならないのでちょっと痛々しい気も

しますが、これがキリの花の運命です。

キリの花は、たいてい高い場所に咲いている

のでいつも下から背伸びして見上げる形で眺

めることになります。 今年は、それでも少し

下の方にある花の塊を見つけ、大きめに写真

を撮ることが出来きたので満足しています。

キリの花が咲くと、この地方も安心して衣替

えが出来る季節になります。ダウンやウール

の衣類を洗濯して身も心も軽くなる気持ちに

寄り添ってくれる花です。 

 

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ナガミヒナゲシ(花)

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久しぶりにナガミヒナゲシの花を見ました。

都会では、車がビュンビュン走る道路の路肩

で群れをなして咲いているこの花も私の今住

む山では見かけません。

ところが、先日、山を下りて畑の多い場所を

歩いていると道端にナガミヒナゲシが、少し

だけ咲いていました。とうとうここまでやっ

て来たのだ、と思いました。

ナガミヒナゲシは、地中海原産のケシ科の植

物です。普通のヒナゲシの半分位の小さな花

を咲かせ、たくさんのオレンジ色の花が群れ

ている様子は摘んで帰りたいような可愛らし

さです。 しかし、その愛らしさと裏腹に爆発

的繁殖力を持ち、あっという間に日本中に広

まったのです。

ナガミヒナゲシのナガミは長細い実をつける

ところからきています。この実の中には1000

から2000粒の種が詰まっているそうです。そ

して、その細かい種が車のタイヤの溝につい

て各地にばら撒かれてしまうのです。都市部

の道路沿いに多いのはこのためです。

ナガミヒナゲシは、まだ特定外来生物には指

定されていません。しかし、花によって大事

にされるものとそうでないものがある、とい

うことにどこか釈然としないものを感じてし

まうのです。 

 

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サクランボ

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近所にサクランボの木があることに気付いた

のは昨年のことでした。

丁度、真っ赤に色付いた実がたわわについて

きれいだなぁと思って通り過ぎたのですが、

2,3日して見に行くともう赤い実のついた木

は、忽然と姿を消しており、いくら探しても

見つかりませんでした。確かこの辺りにあっ

たはずなのに…。

あれから1年が経ち、そういえばサクランボ

の木を見かけたのは、今頃だったなぁと思い

出しました。散歩のついでに再度心当たりの

家の庭先を見ていくと、赤くなり始めた実が

また沢山なっています。

あった、あった、夢じゃなかったんだ!と気

分は「となりのトトロ」のメイのように嬉し

くなりました。

売られているサクランボに比べるとだいぶ、

小粒ですが、食べられる品種のサクラの実が

なっています。今度は、場所を見失わないよ

うに周囲に目印になるものをしっかり確認し

てその木の位置を憶えました。木には鳥除け

のネットなどもかかっておらず、もしかした

ら熟すとあっという間に鳥に食べられてしま

うのかもしれないと思いました。

今回も2,3日後、見に行くとわずかにまだ未

熟な黄色い実が残されているだけで赤い実は

見事になくなっていました。

木の持ち主が収穫しているのか、鳥たちが御

馳走になっているのか、不明ですが、実がな

くなると、普通のサクラの木に戻ってしまう

早業に、狐につままれたような気分になるの

です。