リョウブ(花)
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昨年は全く咲かなかったリョウブの花が、今
年はたくさん咲きました。
リョウブは、かつて飢饉などの時に備えて育
てることを法律で定めた救荒植物の1つに含
まれます。そのため漢字で令法と書かれる時
もあります。若葉を山菜として楽しむことも
出来るようですが、今はわざわざ食べる人は
ほとんどいません。
私の家の近所の公園にはリョウブの木がなぜ
かたくさん植樹されています。あまり高くも
太くもならない木ですが、細かいクリーム色
の花が咲くとなんともいえない風情がありま
す。
毎年梅雨の雨に濡れながら咲くのですが、昨
年はどうしたわけか、全く花をつけませんで
した。春先に剪定されてしまったのか、雨が
少なかったせいかと推測していますが、とて
も残念でした。
今年は、梅雨入り前から花芽がたくさんつい
ているのを確認しており、咲くことは確実で
したが、今か今かと咲くのを楽しみにしてい
ました。
遠くから見ると地味で、背景に溶け込んでし
まうような花なのですが、なぜか私は心惹か
れる花なのです。
ヤマユリ(花)
今年はどの植物も例年より花が、早いようで
ヤマユリも少し早く咲き出しました。
家の斜め向かいにある小さな公園は、不思議
なことに毎年ヤマユリがたくさん咲きます。
公園の周囲に植えられたツツジなどの生け垣
の間から5月位から茎が伸び出して7月中頃
になると大きな蕾が目立ち始めるのです。
ユリは、根元に直射日光が当たらない環境を
好むので丁度ツツジが足元を覆っているのが
良いのかもしれません。毎年人の顔くらいあ
る大きな花を咲かせ、花後には実をつけて中
には種がたくさん詰まっています。
気温が高くなるとヤマユリは、濃厚な香りを
漂わせます。クチナシの香りとは少し違う、
でも甘い香りです。
ヤマユリは、本来、山野の林縁や草地で自生
してきたユリです。この公園も昔は雑木林だ
ったはずなのできっとその頃から世代交代し
ながら生きてきたのだと思います。
目を閉じて、この場所がたくさんの木々に覆
われていた頃に想いを馳せるとヤマユリの楽
園だった様子が、少しだけ想像出来るような
気がするのです。
キノコ18
ずっと降り続いているわけではないのですが
雨が降ったかと思うと急に日が照ったりと目
まぐるしく天気が変わります。
今年も庭にキノコが生えてきました。昨年と
だいたい同じ場所です。紅色のカサは雨に濡
れてツヤツヤとしています。キノコのことは
全然詳しくないのでこれが、何という名前の
キノコなのか毎年わからないままです。多分
ベニタケの仲間だと思うのですが、ネットで
調べてもキノコは、環境によって個体差が大
きいので同定が大変難しいのです。昨年より
出てきた時期は、半月ほど早いようですが、
目に見えなくても胞子が地中に生き残ってい
たのでしょう。
キノコというと秋のイメージがありましたが
この辺りでは梅雨の終わり頃が一番多く見か
けます。採って食べる人もいないのでしばら
く経つと真っ黒になって消滅してしまうので
すが、キノコはキノコのペースで生きている
ようでたいてい毎年同じような場所にまた現
れます。
いつの間にかこの辺りの空気もねっとりと体
にまとわりつく質に変わりました。短い夏に
コロナウィルス対策しながら楽しめることは
何だろうか、と思案中です。
ナンテン(花)
このところ雨が続いているため早朝散歩もお
預けの日々です。
庭のナンテンの木には花がたくさんついて雨
の中でも黄色い雄しべが見えるほど開いてい
る花もあります。
ナンテンの花は、だいたい毎年梅雨の最中に
咲きます。雨が降っては昆虫が来てくれない
のでは?と思うのですが、そんな心配は無用
のようで毎年冬になると赤い実をたくさんつ
けてお正月飾りに活躍してくれます。
5月から続いている私の周囲の慌ただしさは
今年は7月になっても続いています。
高齢者のコロナウィルスのワクチン接種がだ
いぶ行き渡ったと判断して、色々な人々が電
話や訪問して来るようになってきました。
高齢世帯のスローペースの生活は、一気にか
き回されるように散らかっています。
親達が気にしていた私のワクチン接種券が、
ようやく送られて来ました。ワクチンの供
給が滞ってきたようで予約が取れたのは行
ったことのない遠くの病院。まあ、7月中
に一回目が取れたので良しとしなければ。
今年もまた梅雨の時期に大きな災害が発生し
ています。恨めし気に雨雲を見上げることし
か出来ない私は、せめてナンテンに難を転じ
てくれるよう祈るのです。
今日の空83
雨続きの日々でも急に、夕方に晴れ間がのぞ
いて夕焼けが、見られる時があります。
夏の夕焼けは、たいてい台所にいて洗い物を
している最中に気が付きます。 きれいな空に
なりそうだと思ったら急いで2階に上って窓
から空を確認します。
程よく残った雲がピンクやオレンジに染めら
れてきれいだなぁと見とれていると遠くから
微かにヒグラシゼミの鳴き声が聞こえている
のに気が付きました。今年の初鳴き。
両親に教えようと階段を下りかけると居間の
テレビが大音量で鳴っています。これではヒ
グラシの声は聞こえないだろうな、と思い伝
えるのはあきらめ、台所の片付けを再開しま
した。
世の中は、美しいものにあふれています。ど
んなに辛い時でもそれを見つけられれば前を
向けるような美しいもの。それは、人それぞ
れ違うものかもしれませんが、それぞれの心
にポッと灯をともすはず。
空の色、ヒグラシゼミの鳴き声、そんな儚い
ものたちの出会いに生きてて良かった!と思
うのです。大袈裟?でも少なくとも私にとっ
ては真実です。
クサハナビ(花)
今年の春先に友人がクサハナビの根を送って
くれました。
私は、それまでこの植物の存在を知りません
でしたが、調べるとクサハナビの本当の名前
は、タリヌム・カリキヌムというそうです。
でも、この舌を噛みそうな名前を一向に憶え
られず、いつもクサハナビで通しています。
原産は、アメリカ南西部からメキシコにかけ
ランは、以前育てたことがありましたが、こ
この寒さで大丈夫かな?と少し心配していま
した。
最初、昨年の秋に種を貰って蒔いたのですが
待てど暮らせど芽が出てこず、やっぱり寒過
ぎるのかな~と思っていたら、春に今度は、
枯れ枝のような根が送られてきました。
ゴールデンウイーク頃になってやっと短い松
葉のような葉が数本見られ、これでいいのか
な?と半信半疑でいましたが、暖かさが増す
につれて葉の数が増えて段々オカヒジキのよ
うになった頃、細い針金のような茎が伸びて
先端に小さな蕾がつきました。
花はまだ咲かないだろうと思っていましたら
ある日の午後、あっけなく咲いていました。
茎が細い割には大きめのショッキングピンク
の花は風に吹かれても案外しっかりしていま
す。
友人にとってクサハナビは、大叔母様との思
い出の花だそうです。夏の午後、涼し気に咲
くクサハナビは、私にとって新たな夏の楽し
みとなったのです。
ムラサキシキブ(花)
雑木林のムラサキシキブの花は、いつもは目
立たない存在です。花が小さいのと目の高さ
より高い所に花がつくので気付かないで通り
過ぎてしまうのだと思います。
ところが、今年は手前に茂っている草むらが
草刈り隊に刈られて見通しが良くなったため
ここにこんなにたくさんのムラサキシキブの
木があったのか!と思うほどたくさんの花が
見えるようになりました。その上、花の数も
いつもより多いようで小さな薄紫色のブーケ
のような塊が、道路からでも確認出来ます。
いつもは、残念な思いをすることが多い草刈
り隊の行動ですが、今回は嬉しい誤算です。
今年は、庭のコムラサキシキブの方は元気が
なく枯れてしまった部分もあって花も実も絶
望的だったのですが、野生のムラサキシキブ
は元気そうで安心しました。
自然界では、花がたくさん咲いたからといっ
て実が、たくさんなるとは限りません。でも
秋の楽しみが1つ増えた、と思うと未来がち
ょっとだけ明るく感じられるのです。
カンゾウ(花)
今年もカンゾウ(萱草)の花が、咲き始めま
した。
カンゾウは、ユリの花に似ていて英名でも
Daylilyと名付けられていますが、実際はユリ
科の植物ではありません。また、同じ呼び方
で甘草と書く、全く別のマメ科の植物もあり
大変ややこしいことになっています。
マメ科の甘草は、根から甘い成分が取れるた
め甘味料として様々な食品に使われたり、漢
方薬にも配合されています。
オレンジ色の花が咲くカンゾウは、人家や田
畑の近くで自然に繁殖していて夏になると緑
の風景の中でよく目立つ花です。1つ1つの
花の命は、短くても次々と花が咲き繋ぐため
夏の間中、咲き続けているように見えます。
人によっては、花や蕾を山菜として収穫して
おひたしにして楽しむ人もいるようですが、
摘んでしまうのが惜しいような気がして私は
まだ試したことがありません。
オレンジ色のグラデーションで染め分けたよ
うな花びらは、美しい夕焼けのようです。
梅雨の最中に珍しく燃えるように美しい茜色
の夕焼けになることがありますが、そんな時
カンゾウの色を映したようだなぁ、と思うの
です。
ザクロ(花)
今年もザクロの花が咲き出しました。
朱色の花は、元気の象徴のように咲いていま
す。
自然界の花の色にもその時期ごとの流行色が
あるのか、少し前は白い花が多かったのです
が、これからは朱色の花が増えてきます。
湿度も気温も上がって日中はグッタリする暑
い日が、もうすぐ訪れる予告のよう。
当地に引越して来る前は、ザクロは6月初め
には咲き出す花でした。ほぼ1ヵ月、季節の
巡りが遅いということになります。そして涼
しくなるのは、ほぼ1ヵ月早いです。8月の
お盆を過ぎれば朝晩の風はもう秋風です。
暑いのが苦手な人にはここは、快適な気候な
のかもしれませんが、私は寒いのが苦手なの
で前後合わせて2ヵ月分、毎年夏を削られて
いるようで損した気分。
暑くて何もする気が起こらず、風通しの良い
畳の部屋でゴロゴロしながらアイスやスイカ
を食べてはまたゴロゴロする真夏の楽しみは
ここにはありません。そんなことをしたらお
腹を壊すか、寝冷えするのがオチです。
しばしザクロの花を眺めながら気だるい午後
の思い出に浸るだけです。
ナデシコ(花)
天気予報では、この辺りは曇りのはずなのに
朝から霧雨が降り続いています。いつものこ
とですが、たいてい天気は悪い方へ傾いてし
まいます。晴れなら曇り、曇りなら雨。
来たばかりの頃は、天気が悪いことにもイラ
イラしていましたが、今ではだいぶ慣れてこ
こはそういう天気の場所なのだ、と思うよう
になってしまいました。煙るような雨は、音
もなく降り、でも確実に全てのものを湿らせ
ています。
雨でもナデシコの花が、咲いています。
優しい桃色の花は、いつ見てもホッとさせら
れます。花びらに雨の雫をのせてイキイキと
しています。ジメジメとした環境が、苦手と
聞きましたが、気温が低いことが幸いしてい
るのでしょうか。気温は、20度そこそこ。
ます。梅雨が終わればこれから盛夏のはずで
すが、キキョウの花もチラホラと見え隠れし
ています。
日によって冬以外の季節が、混在している山
の気候は安定しません。その時、なった天気
を受け入れていくしかないのです。例え、真
夏に震えるほど寒い日があろうとも。